じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 夕方の散歩時、津山線の線路の上を歩いているクロネコを目撃した。猫にとっては歩きやすい道のようだ。

2019年12月11日(水)



【連載】関係反応と #関係フレーム をどう説明するか(48)専門書、入門書で取り上げられている事例(5)

 昨日に続いて、

●ブラックレッジ, J.T. ・モーラン, D.J. 著 木下奈緒子訳 (2009).臨床家のための「関係フレーム理論」入門. こころのりんしょうa・la・carte, 28(1), 87-97

で取り上げられている関係フレームの事例について考えてみることにしたい。

 昨日も述べたが、この紹介論文では、「赤い照明下(=大きいほうを選んで)」のもとで大きい長方形を選ぶことを学習すると、赤色自体が恣意的に設定された「より大きい」刺激になる、ということを説明しているように思われた。大きさの比較実験であるので、つい、比較反応の相互的内包の説明事例かと思ってしまうが、じっさいは、「赤色ならばより大きい」から「より大きいならば赤色」が派生するという相互的内包の事例になっているのである。これは入門者にとってはかなりややこしい事例ではないだろうか。

 次に挙げられていた事例は、

●小さな女の子が、丸くて赤い対象物が提示され、母親から「ボール」と言われる。「ボールを取ってきて」と言われると、その子どもはおもちゃ箱から丸くて赤い対象物を選択する。

というようなものであった。こちらのほうが、「丸くて赤い対象物→ボール」と「ボール→丸くて赤い対象物」という相互的内包の事例としては遙かに分かりやすい。

 さらに、

●エイミーはビルより年上で、ビルはエイミーより年下

という日常経験から「年上/年下」という言葉が、特定の年齢差に対応していることが学習され、その時点で、

●チャーリーはデニスより年上である

と言われると、「デニスはチャーリーにより年下である」が派生するという事例が取り上げられていた。

 ちなみに、ここでいう「年上/年下」というのは、生まれてからの年数が多いか少ないかという数値上の比較以上の意味を含んでいる。子どもであれば、一般に年上のほうが背が高く力が強いであろうし、もし日本であれば、年長者が年少者に接する時の態度や言葉遣いは、年少者が年長者に接する時と大きく異なる。そのような接し方の違いもすべて含んで「年上/年下」が派生されるのである。

 次回に続く。