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【連載】関係反応と #関係フレーム をどう説明するか(55)専門書、入門書で取り上げられている事例(12)刺激等価性研究(5)等価性と同値律 12月20日の続き。 私ごとになるが、書棚を整理していたところ、高校時代に興味をもっていた数学の文献が出てきた。その中に、 集合Xの元のあいだに何らかの関係Rを考える。xとyがRの関係にあるときという記述があった。当時、私は数学に興味を持っていたが、上記の文章については何を言っているのかさっぱり分からなかった。そもそも「何らかの関係R」とか「xとyがRの関係にある」と言われても、実態の無い、抽象的な「関係」そのものをイメージすることはできないし、「Xの同値関係〜による同値類をそれぞれ1つの元と見なして」という時の「見なして」という表現も、何の根拠もなしにどうして「見なす」ことができるのかよく分からなかった。 もっとも、50年ぶりにこういう文献を読むと、上記の引用文で何を言いたいのかが分かったような気がする。いま思うと、私はもともと、数学的思考には向いていなかったようである。単に、受験数学の問題やパズルなどを解くことに熱中していただけであり、数学の理論を基礎から組み立てるような発想はできなかった。 それはそれとして、上記の同値関係の定義は刺激等価性に酷似しているように見える。もっとも、刺激等価性の研究というのは経験的事実であって数学的理論ではない。また、関係フレーム理論における相互的内包や複合的相互的内包も、抽象的な数学の体系ではなくて、「こういう状況のもとではこういう行動が派生しやすい」という法則性を一般化したようなものと言える。特に、刺激機能の変換は、個体の経験と密接に結びついており、今後、AIがさらに進歩して恣意的に確立された関係反応の派生をシミュレートできるようになったとしても、文脈や刺激機能変換にかかわるパラメターは外部から人為的に投入せざるを得ないように思う。ディープラーニングとやらで、レスポンデント条件づけやオペラント条件づけの強化履歴を取り込めるというなら別だが(そうなれば、少なくとも表向き、いろいろな課題に「やる気」を出したり、逆に苦悩を感じたりするようなロボットが作れるはずだ。) 不定期ながら次回に続く。 |