じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 半田山植物園の温室にチューリップが登場した。ちなみに、1月26日の岡山の最低気温は5.5℃、前日の25日は3.4℃というように暖冬傾向が続いている。この傾向は1月末まで続く見込み。

2020年1月26日(日)



【連載】#チコちゃんに叱られる! 「脂がおいしい理由」、「四コマ漫画の起源」

 1月24日放送のNHK チコちゃんに叱られる!の感想と考察。この回は、
  1. なんで脂がのってるとおいしいの?
  2. なぜ新聞に四コマ漫画があるの?
  3. 鍾乳洞ってなに?
という3つの話題が取り上げられた。本日はこのうちの1.と2.について考察する。

 1.の美味しさに関する話題だが、似たような質問は、 など、過去にも取り上げられており、またか!と少々、食傷気味になってしまったが、今回は「なぜおいしいの?」ではなく、「そもそも何でそうなったのか?」という観点から説明された。

 番組では、
  • 脂の一部が唾液によって脂肪酸とグリセリンに分解され、脂肪酸にはうまみや甘みを増強させる働きがある。
  • 1810年にマグロが大量に取れ、当時廃棄されていたトロの部分を葱鮪鍋にすることで、脂によりネギのうまみが強くなった。
というように説明されていたが、前半部分はなんで、みんな焼き肉が好き?と似ていた。但し、今回の番組では、
  • そもそも脂だけを食べて人間がおいしいと感じることはない。
  • 脂が口の中に入ることによって食べ物にしっとりとした食感を与える。【脂肪酸は】食べ物の味を増強する働きをしている。
  • 脂が消化吸収されると大きなエネルギー源になり、体に有益な結果をもたらす。
というように、そのプロセスが詳しく説明された。
 番組では続いて、江戸時代は脂ののった魚は腐りやすいため殆ど食べていなかったこと、ところが1810年にマグロが大量に水揚げされ、これをきっかけに「まぐろ鍋」が考案され、一般庶民に広がることによって、「日本人の脂を食べる文化が定着し始めた」というように説明された。さらには明治になって西洋からバターや牛肉などの食文化が伝わり、日本人が脂を好むようになったという。
 このあたりまでは納得できるのだが、そのあとの、

脂ののったトロはおいしい、高いエネルギーを持った食べ物であるということが脳に刷り込まれ、脂がのっているとおいしい!という考えが日本人に広まっていったのです。

というナレーションはコジツケに過ぎないように感じた。そもそも、何かを美味しいと感じること自体は脳に刷り込まれるようなものではないし【但し、条件づけられることはある。こちらに関連文献あり】、ある世代で美味しさが条件づけされたからといってその獲得形質が次の世代に遺伝するという発想は、いくらエピジェネティクスの研究が進んでいるからといってあまりにも短絡的であるように思われる。ここはあくまで、食文化の変遷として【説明ではなく】記述的に扱うべきであろう。




 2.の「なぜ新聞に四コマ漫画があるの?」については、番組では「すさんだ気持ちを和ませるため」と説明された。このあたりの経緯はウィキペディアでも詳しく説明されている。このWeb日記でも何度か指摘しているように、「なぜ○○があるの?」とか「○○のことをなぜ××と言うの」といった疑問については、
  • 元祖や由来はどこにあるか?
  • なぜ今、それが使われているのか?
というように分けて考える必要がある。例えば、4コマの風刺画や戯画は江戸時代からあるというが、それが伝統芸能として継承されて今の4コママンガになったわけではあるまい。もっとも、1923年にスタートした正チャンの冒険が新聞4コマ漫画の定着に大きく貢献したことは間違いあるまい。
 ウィキペディアによれば、その後登場した「サザエさん」や「まっぴら君」などが第二次のブーム、さらに、いしいひさいちの「がんばれ!!タブチくん!!」や、番組でも登場された植田まさしの作品が第三次ブームを起こしたとされている。じっさい、我が家の本棚にも、タブチくんやまさしくんの単行本が何冊か保管されている。

 次回に続く。