じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 岡大構内のミモザの大木。だいぶ色づいてきた。

2020年1月30日(木)


【連載】関係反応と #関係フレーム をどう説明するか(58)恣意的に適用された #派生的関係反応(その3)

 昨日の日記の続き。

 今回は、赤、青、黄という3つの分銅の例を考えてみよう。これら分銅は見た目には全く同じ形、大きさであるが、中身の素材の違いにより、「赤<青<黄」というように重さに違いがある。

 この場合、分銅を実際に手に取って重さが比較できる状況にあったとすれば、これらの重さの関係は非恣意的な関係であると言える。赤と黄の分銅が提示されて「重い方を選んでください」と呼ばれた時には、単に2つを比べるだけで黄を選ぶことができる。
 いっぽう、これらの分銅が画像で示されている状況で(=手に取って重さを比較できない状況)、「赤と黄のどちらが重いですか?」と聞かれても正解を出すことはできない。しかし、事前に「赤<青」、「青<黄」という情報が与えられていれば、「赤より黄のほうが重い」という答えることができる。これはAARRであると行ってよいだろう。

 さて、以上は、順序尺度上における比較であった。今度は、
  • 赤:5グラム
  • 青:10グラム
  • 黄:20グラム
というように具体的に重さが分かっていたとしよう。

 以上を、教わったのちに、「5グラムの分銅はどれですか?」と聞かれたとしよう。これは単に「5グラム→赤」という対応づけに関する質問であり、比較ではなく等位のフレームに関するものである。尺度で言えば名義尺度のレベルにすぎない。

 では、上記の重さ情報だけから
  • 赤い分銅2個は青い分銅1個と同じ重さである。
  • 赤と青の分銅を合わせたものより黄の分銅のほうが重い。
といった高度な関係反応はどのように派生されるのだろうか。これらはおそらく、赤、青、黄の3者の関係フレームではなくて、数の足し算やかけ算についての物差しのようなものと対応づけているためであると思われる。これを、いくつかの関係フレームの複合とみるのか、四則演算フレームとみるのかは議論が分かれるかもしれないが、子どもが数の計算を学ぶうえでどういう手順が最も効率的であるのかという観点から体系化していくことが重要ではないかと思う。

 不定期ながら次回に続く。