じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 各種報道によると、新型コロナウイルスの集団感染が確認されたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」では、これまでに乗客・乗員合わせて634人が感染し、32人が重症となっているが、2週間の待機を終えて、陰性と判定された970人が、21日までの3日間で下船。また、船内に残った人のうち、陰性と判定されたものの感染者と同じ部屋にいたおよそ100人の乗客は、22日のうちに国が用意した宿泊施設に移る予定であるという。
 私自身は、エーゲ海で一度だけクルーズ船に乗ったことがある。客室はシャワー・トイレつき。テレビや机もあった。この時はわずか3泊4日であり、特に不自由さは感じなかったが、自分の意志に反して2週間以上も室内に閉じ込められるということになればやはり相当のストレスになるとは思う。

2020年2月22日(土)



【小さな話題】感染拡大防止策としての「グループ別隔離」(続き)

 昨日の日記で提案した「グループ別隔離」について補足しておく。

 私が言いたかったことは、3000人規模の大型クルーズ船で集団感染の危険が察知された時は、3000人全員を同じ船内に閉じ込めるのではなく、例えば300人ずつにグループ分けして、グループ別に、全く離れた場所に運んで、グループ単位で隔離してはどうかという提案である。そのさい、各グループ内では個室隔離はせず、ある程度の接触は認めることにする。

 集団感染が始まる前の初期段階であれば、こういう隔離方法は感染拡大防止にきわめて有効と言える。なぜなら、ある程度感染が拡大して、(上記の300人ずつの)10グループのうち3グループで新たな感染者が出たとしても、残り7グループ2100人に感染が及ぶことはない。なので、2週間程度の健康観察期間中に新たな感染者が出なければ、その7グループの人たちは自由に移動してもらっても市中感染の原因になることは全くない。

 いっぽう、今回のように3000人規模の乗客をすべて同じ船内に閉じ込めてしまったとすると、いくら個室隔離を徹底したとしても、乗員、さらには検疫官などを通じて3000人全員が感染の危機に晒されることになる。しかも、健康観察期間の終了間際に感染し、じっさいは数日後に発症するかもしれないまま下船を認めてしまうことになりかねない。

 ま、不幸中の幸いというか、今回の新型コロナウィルスの感染経路は空気感染ではなく飛沫感染に限られているとされており、また、高齢者や基礎疾患をかかえた人以外では致死率はそれほど高くないということなので、ある程度辛抱すればいずれ終息すると考えられているようだ。しかし、より感染力や致死率の高い感染症が新たに発生するリスクは常にあり、しかも地球規模での交流が盛んになった現在、感染拡大が一気に広まってしまう恐れがあるなかで、それを迎え撃つ防御体制があまりにも脆弱であったことは、今回のクルーズ船の事例を見れば明らかである。

 昨日の日記では、「ふだんはクルーズ船、いざという時は病院船」という、大型船を隔離施設として活用する対策を提案したが、大型船だけでは、台風接近時などに利用できない恐れがあるので、陸上での施設も各地に用意する必要があるだろう。但し、これまたメンテのコストがかかるので、平時は民間のホテルとして営業、但し、特例として、感染症発生時にはすべての宿泊予約を無効にし、隔離施設として一定期間活用できるような法的整備を進める。もちろん、そのような特例ホテルには、税制面や、臨時隔離施設に転用できるような諸設備(救急医療設備、空気感染防止設備など)を公的に負担するなどの優遇措置をとることとする。