じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 3月19日の19時14分頃、国際宇宙ステーション(ISS)が南西の空から出現しオリオン座、ほぼ天頂を通過して北東の空に消えていくところを観察することができた。ISSはこれまでにも何度も目撃しているが、最近はすっかりご無沙汰であった。


2020年3月20日(金)



【小さな話題】「春分の日」についてのトリビア

 3月20日は春分の日ということで、人生60+α年をかけて私が獲得した、春分の日に関する雑学的知識を備忘録代わりにまとめておくことにしたい。
  1. 「春分の日は昼と夜の長さが同じになる」というのは間違い。
     ウィキペディアにも記されている通りで、実際には昼のほうが夜より14分ほど長い。その理由としては、大気差が2分20秒、日の出と日の入りの定義によってもたらされる太陽の視覚の要因が1分5秒、これらによって、日の出がは3分25秒早く、日の入りは3分25秒遅くなるので、昼間の長さは12時間ジャストより7分長くなる。そうすると夜の長さは7分短くなるため、合計で14分の差が生じる。

  2. 「春分の日は、太陽が真東から昇って真西に沈む」というのは厳密に言えば間違い。
     このことは3月17日の日記でも取り上げた。岡山の場合は、太陽が真東から昇るのは、春分の日の前日の3月19日、真西に沈むのは、3月18日(方位269.7°)と3月19日(方位270.2°)のあたりだが、ジャストではない【こちら参照】。3月17日の日記にも述べたように、理由の1つは、日の出と日の入りの定義に由来すると思われるが、大気差の影響もあるかもしれない。さらに、春分そのものは瞬間であって(2020年の場合は3月20日の12時50分)、日の出は、太陽が春分点を通過する瞬間よりも前、日の入りはその瞬間より後であるため若干のズレが生じる。

  3. 「春分の日」は「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ日」ではない。
     国民の祝日に関する法律では「自然をたたえ、生物をいつくしむ。」と説明されている。「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ日」は秋分の日。

  4. 「春分の日」は前年2月にならないと決まらない。
     天文学上の春分は、何百年も先まで予想できるが【但し、閏秒の挿入や、巨大彗星の接近で地球の公転周期や自転周期が変わった場合を除く】、祝日としての春分の日は、「毎年国立天文台が「春分日」を含め作成する翌年の『暦象年表』という小冊子に基づき、施行年の前年の2月第1平日付の官報の公告(特殊法人等)欄の「暦要項」において「春分の日」として公告される。」となっているので、前年2月までは公式には決まっていない。太陽が春分点を通過する瞬間が23時59分59秒あたりとなった場合は、閏秒の挿入で1日ずれる可能性がある。

  5. 「春分の日は、平年は3月21日、閏年は3月20日」というのは間違い
     こちらのリストに記されているように、実際そうなっていない年が多数ある。これは、1年の長さが平均して約365.242189日となっていて、太陽が春分点を通過する瞬間が毎年約6時間ほど遅くなっていくことによる。なお、ウィキペディアによれば、
    【春分の日は】1924年以降は毎年3月21日になっていたが、1960年以降は閏年だけが3月20日になり、1993年からは閏年翌年も3月20日になるため、2年毎に日付が変わる。2027年以降は閏年前年のみ3月21日となり、その他は3月20日になる。2056年から2100年まではほぼ3月20日になるが、2092年、2096年だけに3月19日に春分日が現れる。一方、春分日に再び3月22日が現れるのは2303年と計算されている。
    というように、春分日が3月19日になったり3月23日になる場合もある。これは、グレゴリオ歴の規定によって、西暦2000年は閏年、西暦2100、2200、2300年は平年と定められているためと考えられる。こうしたズレは400年単位で繰り返されるものと思われるが、歳差の影響もあるので完全に周期性があるわけではなさそう。

  6. 「春分の日から秋分の日までの日数と、秋分の日から春分の日までの日数は同じ」というのは間違い。
     実際に直近の日数を計算してみると、
    • 2019年の春分の日は、3月21日6時58分
    • 2019年の秋分の日は、9月23日10時51分
    • 2020年の春分の日は、3月20日の12時50分
    • 2020年の秋分の日は、9月22日の17時52分
    となっており、
    • 2019年の春分から秋分まで:186日3時間53分
    • 2019年の秋分から2020年までの春分まで:179日1時間59分
    • 2020年の春分から2020年の秋分まで:186日5時間2分
    となっていて、春分から秋分までの日数のほうが一週間ほど長い。これは地球の軌道が楕円であり、今年の場合、近日点通過は1月5日の16時48分、遠日点通過は7月4日の20時35分となっている。つまり、春分から秋分までのあいだのほうが太陽から遠いところを移動しているためケプラーの法則により、より多くの日数がかかることになる。
     なお、こちらの計算結果に示されているように、近日点通過と遠日点通過の日時は毎年変化する。長期的には歳差の影響を受けると思うのだが、我々が生きている期間に限っては考慮しなくてよさそうだ(←春分から秋分までのほうが日数が多いという特徴が逆転することはないという意味。)