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岡大・東西通りのハナミズキ並木(岡大西門以西)。新型コロナウイルス対策として、岡大では、学生の構内立入禁止、第1学期全期間(4月1日〜6月14日)をオンライン授業とすることになった。当然、大学周辺では人も車も殆ど見かけなくなった。 |
【小さな話題】おもちゃ箱列車がバイバイしながら空の遠くに消えていく夢 いよいよゴールデンウィークが始まった。例年この時期は、妻の実家に帰省し、別のところからやってくる子どもたちの家族と一緒に過ごすことが多いのだが、今年ばかりは、外出自粛、移動自粛となり、それぞれの家族が別々に過ごすことになってしまった。これにより、孫たちと一緒に過ごす時間も失われてしまった。 私のところにはいま、0歳から5歳までの孫たちがいるのだが、乳幼児というのは本当に素直で、もしかするとこの年齢期こそが人生で最も幸せなライフステージにあたるのではないかと思えるほどである。 とにかく、何でもやりたがる。欲しいものがある。欲しいものが手に入った時は素直に喜ぶ。好きなことに熱中する。もちろん、イヤイヤ期と言われるように、乳幼児期でも親の言う通りにするわけではないが、すぐに機嫌が直ることが多い。 こういうことは大人では決してできない。大人になってしまうと、やりたいことが何だか分からなくなり、尻込みしたり、これを続けてていていいのかと自問自答を繰り返したりする。欲しいものを手に入れても100%満足できず、もっと欲張ったり、逆に、禁欲志向になったりする。他のことに煩わされたりしてなかなか熱中できない。そしてなかなか機嫌が直らない... 子どもが素直に喜んだり悲しんだりできる年齢期には個体差があるとは思うが、私は、おおむね2歳から10歳前後までがこれに相当しているのではないかと思う。10歳を過ぎると、子どもは自立志向を強め、親の言うことに従わないようになる。これは反抗期とも呼ばれるが、すべての子どもが反抗的になるわけではない。但し、何でもかんでも親の言う通りに従うように育てるといつか爆発するか、30歳を過ぎても親に依存する人生を送る可能性があり、少なくともアサーティブネスの確立は必要である。 さて、表題の「おもちゃ箱列車がバイバイしながら空の遠くに消えていく夢」だが、これは、ドラえもんのアニメだったか、西岸良平の漫画だったか、あるいは、私が勝手に作りかえた話だったのか記憶がはっきりしないのだが、イメージとしては、仲良く遊んでくれた人形、ぬいぐるみ、そのほか、いろんなおもちゃがトロッコのような「おもちゃ箱列車」に乗って、にこやかに手を振りながら空の遠くに消え去っていくというシーンである。どんな子どもも、たった一度だけこの夢を見るという。その夢から覚めた後は、もはや、人形もぬいぐるみも魂を失って、ただの「懐かしいモノ」になってしまう。そして、もはや素直に喜んだり悲しんだりできなくなる。この夢をさかいに、子どもは自立期に入る。 この「おもちゃ箱列車」だが、元のストーリーでは、確か、おばあちゃんもその列車に乗っていて一緒に手を振っていた、となっていたと思う。そして、朝、起こされた時に、そのおばあちゃんが夜中に亡くなっていたと知らされるのである。 この出来すぎたようなストーリー(←もしくは、出来損ないのストーリー)は、平均寿命が50歳〜60歳前後であった時代にはピッタリ当てはまるところがあった。というのは、その時代は、親と子では25歳〜30歳前後の年齢差であったので、孫が10歳になる頃には祖父母はちょうど寿命を迎えていた。なので、子どもにとっては、祖父母のイメージは、バイバイしたおもちゃ箱列車と同じように形成される。 今の時代は平均寿命がもっと長くなっているため、祖父母のイメージはこうはいかない。「反抗期」には「クソじじぃ」、「クソばばぁ」と呼ばれたりすることになる。ま、祖父母の側からの孫のイメージも、「子どもの頃は素直で聞き分けの良い子だったが、今は手に負えない」という嘆きに変わる可能性がある。 そういう時代変化はあるにせよ、とにかく、孫が乳幼児期の時の祖父母との関係は、できるだけ美しく、後になって懐かしく思い出されるような形でありたいと思う。 ちなみに、2年ほど前のチコちゃんに叱られる!によれば、親と子、あるいは祖父母と孫が一緒に過ごせる時間というのはきわめて微々たる長さとなっている。リンク先に引用したように、親と一緒に過ごす時間全体を100%とした場合、そのうちの55%は小学校卒業までの期間で占められ、18歳以降は27%未満しか残っていないという。祖父母と孫が一緒に過ごせる時間ともなれば、祖父母側の寿命の問題もあるので、おそらく小学校卒業までの期間だけで90%以上を占めるのではないかと推測される。いくらSNSが発達しているとは言え、やっぱり、手をつないで一緒に出かけたり、家の中で一緒に遊ぶという時間は貴重である。新型コロナの外出・移動自粛が解除された後には、できるだけ、一緒に過ごせる時間を大切にしたいと思う。 |