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5月8日の日記で「当面」と「当分」という話題を取り上げたところであるが、そう言えば、少し前から、岡大・図書館前に「当面の間休館」という日本語と英文の通知が掲示されていることを思い出した。興味深いのは、日本語と英語の表現の違いである。
いっぽう、英文のほうは、「当面の間」ではなく「until further notice」となっているところが興味深い。ヘタに「for the time being」などとしてしまうと、毎日、もう開館しましたか?という問い合わせが殺到する可能性がある。 |
【連載】#チコちゃんに叱られる!「ツバメと人間」、「電子レンジのチン」、「ランドセル」 5月8日に放送された、NHK チコちゃんに叱られる!の感想と考察。この回は、
まず1.であるが、番組では「人間がガードマンになってくれるから」と説明された。そもそもツバメは春になると東南アジアなどから日本に渡ってきて子育てをするが、これは春になるとちょうど、日本では小さな虫が大量に発生する。その量は東南アジアを上回るため、子育てに適していることが渡りの原因になっている[※]らしい。なぜ軒先などに巣を作るのは天敵のカラスやヘビを避けるためであると説明された。 [※]『幸福な王子』からの類推で、「ツバメは本来日本で繁殖・生活しているが、冬は寒くて凍え死んでしまうため、この時期だけ南の国に避難する」と思ってしまうが、実際はそうでもなさそうだ。一年中東南アジアで生息するよりも、春から夏に日本に渡ってきて繁殖するほうが大量のエサを獲得できるため、結果的にそういう渡りをする種類が生き残ったということなのだろう。このあたりは、越冬のために渡ってくる冬鳥とは異なるようだ。 ツバメは確かに民家に巣を作るが、人の手の上や肩に止まったりはしない。あくまで、天敵を避けるために民家を利用しているだけなのだろう。進化論的に言えば、同じ地域に、民家に巣を作るツバメと、木々の洞に巣を作るツバメが居たとする。後者は天敵に襲われて絶滅すれば、結果的に、民家に巣を作るツバメが繁殖することになる。なので、ツバメ側としては、人間がガードマンとして有用かどうかを観察する必要はない。 次の2.の「電子レンジのチン」の由来はウィキペディアに詳しく説明されており、番組も脚色つきであるがほぼ同じ内容であった。以下、抜粋すると、
ウィキペディアによれば、電子レンジは1960年前後に開発・発売されたが、当初は高価かつ利用範囲が限られていたために家庭には普及していなかった。また、『暮しの手帖』は1975〜1976年にかけて、電子レンジを酷評する特集を組んだという。じっさい、私が学生・大学院生だった頃(1971年〜1980年頃)は学生生活用家電としてはまだまだ普及していなかったが、下宿の大家さんや家庭教師先のキッチンには設置されており、家族間で「チンする」という会話が交わされているのを耳にしたことがあった。行動分析学的に言えば、「チン」は弁別刺激であるが、料理完了(無条件刺激)の直前に発せられることによって、パヴロフの犬と同様に、条件刺激になっている可能性がある。いつも電子レンジで冷凍食品を解凍している人は、「チン」と聞いただけでヨダレが出るかもしれない。 最後の3.のランドセルだが、番組では「学習院が採用したから」と説明された。ウィキペディアにも説明されているように、ランドセルはもともと、背嚢のオランダ語呼称「ransel」に由来している。原語の発音は「ランセル」または「ラヌセル」だが、これが転じて「ランドセル」になったらしい。 背嚢が今の箱形になったのは、大正天皇が学習院初等科入学の際に、伊藤博文が祝い品として献上した形を踏襲したもので、昭和30年代から普及したという。じっさい1959年(昭和33年)に小学校に入学した私は6年間、ランドセルを使用していた。 さて、このWeb日記で何度も指摘しているように、「なんで○○なの?」という疑問に対しては、その由来をたどるだけでは不十分。いま現在、なぜそれが定着しているのか(その行動は何によって強化されているのか)を明らかにする必要がある。今回のランドセルについて言えば、今の小学生にとってなぜランドセル型の通学カバンが有用であるのかを示す必要がある。番組では、
なお、日本では中学生になるとランドセルを背負わなくなるが、外国では中高生でもランドセル型(リュック型)のカバンで登校する国があるようだ。例えば【ネパール】。 |