じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 6月1日の20時、新型コロナウイルスの終息を願い、160の花火業者が参加し、全国各地で花火が一斉に打ち上げられた。3密を避けるため場所は非公開となっていたが、20時前にベランダで待機していたところ、5分間にわたり、写真のような花火が打ち上げられていた。規模は小さいが、一発一発に込められている願いを感じ取ることができた。

2020年6月2日(火)



【小さな話題】QRコードはなぜスゴいか?(その4)

 昨日に続いて、

NHK サイエンスZERO 「驚異の自動認識技術!QRコード開発秘話」

の感想と考察。今回は、最終回として、顔認証への応用、そのほか今後のいくつかの可能性について考えることにしたい。

 まず、顔認証について。番組内容から理解した限りでは、QRコードによる顔認証は、
  • 発行機で顔の写真を撮影し、その特徴をQRコード化した入館証を発行する。
  • 入館時、顔の特徴を読み取り、(おそらく)QRコード化する。
  • 入館証のQRコードと、入館時に新たに作成されたQRコードが一致しているかどうかで、本人なのか、なりすましなのかを判定する。
というような仕組であった。
 この方式で「なりすまし」が起こりうる可能性としては、
  1. 入館証の原紙や様式、模様などを偽造する。
  2. 発行機で、なりすまし役の顔のQRコードを発行し、偽造した入館証に貼りつける。(もしくは自前の「発行機」でQRコードを偽造する)
といったケースが考えられる。なので、最低限、
  • 入館証発行段階で、本人確認をしっかり行っておくこと
  • 入館証が本物であるか偽造であるのかを判別するようなICチップを埋め込んでおくこと ;QRコードの張り替えができないように工夫すること
が必要ではないかと思われる。その対策さえちゃんとしていれば、例えば、企業などの入館証、航空機の搭乗、入試会場での本人確認などで実用化できるように思われた。

 番組でも説明されていたように、QRコードによる顔認証の最大のメリットは、オフラインでも認証ができることにある。これまでの顔認証は、顔の特徴データがサーバー側にあるため、認証に時間がかかったり、回線上のトラブルで作業が中断したり、サーバーから個人情報流出の恐れがあるといったデメリットがあった。今回紹介された方式は、ネットやサーバーに繋がなくても認証ができるし、スピートも早いので、大いに実用化できそうだ。特に、定年退職前にかかわってきた入試業務で言えば、こうした形で、試験会場入口でQRコードによる顔認証ができるようになれば、試験中の顔写真照合は不要になるのでありがたい。

 なお番組の最後のところでは「読み取り制限機能(非公開領域)」についても説明があり、個人情報の含まれたQRコードを盗まれたり落としたりしても、直ちに悪用される恐れはないというような説明がなされていた。

 以上をまとめると、QRコードがスゴいと思われる点は、
  1. 文字や絵の中にQRコードが印刷されていても、速やかに読み取れる。
  2. 歪んでいたり、一部が見えなくなっていても読み取れる。
  3. 誤認識を避けるために「誤り訂正レベル」に応じた「リードソロモン符号」が採用されている。
  4. QRコード自体は白黒のドットの配列であるゆえ簡単にコピー(偽造)できるが、どこかの段階で確認ゲートをしっかり設定しておけば、短時間で簡便な認証技術として実用化できる。
といった点にあるかと思う。

 ここからは少し変わった活用案であるが、例えば、災害時、あらゆる通信手段が遮断された時に、被害状況や必要物品を記したQRコードを作成して屋根の上に張り出せば、文字で助けを求めるよりも、より多く、かつ確実な伝達ができるかもしれない。もっと拡張すれば、月面に着陸した探査船が通信不能になった時、月面に石ころを並べてQRコードを作成し、地球からそれを高精度の望遠鏡で読み取るなどという手段をとることができるかもしれない。但しいずれの場合も、発信者がQRコードの生成ルールを知っていることが不可欠となる。

 このほか、墓碑をQRコード様式で刻んでおけば、一部が風化して読み取れなくなっても、故人の情報をより正確に残せるかもしれない。

 さらには様々な軍事利用の可能性も思い浮かぶが、あくまで平和目的で利用されることを願いたい。