Copyright(C)長谷川芳典 |
岡大・公式サイトによれば、「9月18日(金)16時に岡山大学の主要建物16か所を爆破する」という内容のメールが届いたことを受け、9月18日の13:00から18:00迄の間、全てのキャンパスにおいて「全学生及び近隣住民を含む学外者の立ち入りを禁止」、「教職員は、警備や連絡などのための必要最低限の勤務体制とし、その他の教職員は自宅待機」、「研究室での研究活動も原則停止」という対応が取られたという。これにより、私自身も当日午後に図書館が利用できないなどの不利益を被ることになった。 この措置は「警察署と連携しながら大学構内の不審物の確認、不審者への警戒、構内の巡回などによる警備の強化を進めて参りますが、その上で、学生・教職員及び近隣住民を含む関係者の安全を最優先と考えた」上での対応であるとはいうが、ずいぶんと大げさであるように思う。
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【連載】「刺激、操作、機能、条件、要因、文脈」をどう区別するか?(9)確立操作と動機づけ 昨日の日記の続き。 行動分析学では「確立操作」は、動機づけ諸理論と対比しながら議論されることが多かったように思う。 じっさい、心理学の世界では、古典的な「内発的動機づけvs外発的動機づけ」の議論、達成動機理論、マズローの欲求段階モデル、自己決定理論など様々な動機づけ理論がかなりの影響力を及ぼしている。いっぽう行動分析学では、本来、「動機づけ」という概念は用語体系には含まれていない。長谷川版の3.2.2.で述べたように、その理由は、以下の3点にあるように思われる。
また動機づけ理論は、しばしば、当事者への質問紙調査に基づいてデータを収集しているため、当事者による主観的な行動「原因」を言語化させているに過ぎないという限界がある。要するに、本当の原因は別にあっても、本人がそれに気づいていなければ(言語化できなければ)、その言語コミュニティで流通している「内部要因」に置き換えて表明することしかできないという問題がある。 そう言えば、プロスポーツ選手の優勝インタビューでは、殆どの選手が「ファンの皆様に喜んでいただくために」、「この国難のもとで少しでも元気になっていただけるように」練習に励んでいるというように答えている。もう少し利己的なホンネがあってもいいのではないかと思うフシもあるが、現実にはそういう「失言」をすればパッシングにあってしまう。 いっぽう、強化理論による再定義は、当事者の主観的報告ではなく、行動とそれに随伴する結果との関係を観察したり、条件比較したり、場合によっては介入したりするなかで、より確実に把握できるし、その分析の中から、行動をもっと増やすにはどうすれば良いかといった改善策を見出すこともできる。 ということで、行動分析学の用語体系には「動機づけ」は含まれていないはずであったのだが、ジャック・マイケルの影響もあり、「確立操作(EO)」の代わりに「動機づけ操作(MO)」という呼称が用いられる傾向が出てきた。このことに関しては、島宗先生の2014年のブログに、 ●MOとEOについて:とりあえず「確立操作」のままでいいと考えるいくつかの理由 という興味深い記事がある【その後、論文化されているかどうかは確認できていない】。 私自身も、EOかMOかと問われれば、EOのままで良いのではないかという考えがある。冒頭にも述べたように、動機づけという言葉は、行動分析学以外の心理学で使い古されており、初学者向けにヘタに「動機づけ操作」を使うと、既存の動機づけ概念に混入している強化や弱化の操作と混同されてしまう懸念が拭えないと考えるからである。 とはいえ、時代の趨勢はどうやらEOからMOに傾いているような気もする。また、そのことよりも、「操作」という手続段階の用語は、理論段階では「要因」というような別の用語に置き換えたほうが良いようには思うが、すでに隠居人となった今、積極的に主張するつもりはない。 不定期ながら、次回に続く。 |