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火曜日は半田山植物園が休園日のため、代替のウォーキングコースとして用水路沿いを歩いた。この日は水面が鏡のように平らになっていて、川沿いのマリーゴールド、ヒマワリ、酔芙蓉などが映っていた。なおこの用水路は、もう1本の用水路と合流して、岡山市中心部を流れる「西川」となる。 |
【連載】「刺激、操作、機能、条件、要因、文脈」をどう区別するか?(28)セッティング事象とは何か?(14)機能的文脈主義からの概念分析(4)温泉卵の作り方と玉子料理 昨日に続いて、 武藤崇 (1999).「セッテイング事象」の概念分析一機能的文脈主義の観点から一. 心身障害学研究, 23, 1313-146. についての感想。なおこの論文はつくばリポジトリから無料で閲覧できる。 武藤(1999、140頁)によれば、Hayes (1991)の「言語的構成物の4つの次元」に照らし合わせてみると、セッティング事象は、正確さ(precision)は高いレベルにあるものの、他の分析用語との機能的な関係が不明確であれば、広がり(scope)、構成(organization)、深さ(depth)との関連性は低くなる。そのため、 蓄積された言語構成物が、新奇な問題や状況に直面した場合に対応できず、新しい技術を開発するための系統的な手段ではなくなってしまい、さらには首尾一貫性がなく系統性のない技術の知識リストになってしまう危険性がある。という恐れが出てくる。昨日の日記に記した言葉で言えば、けっきょく、「これが効きました」、「これも効きます」といった事例の列挙に終わってしまう。 以上について、「温泉卵(卵黄部分は半熟、卵白部分は半凝固状態に茹でた鶏卵)の作り方」を例にして考えてみよう。ネット上で各種情報が伝えられているように、温泉卵を作るためには、
これに対して、「温泉卵は卵黄の凝固温度(約70℃)が卵白の凝固温度(約80℃)より低い性質を利用して作られる」という知識は、温泉卵のほか、ゆで卵、オムレツなどの調理にも有用である。要するに、設定温度や時間を記しただけのレシピ(言語的構成物)は、新奇な問題や状況に直面した場合【=別の玉子料理】に対応できず、新しい技術を開発するための系統的な手段ではなくなってしまい、さらには首尾一貫性がなく系統性のない技術の知識リスト【=レシピの羅列】になってしまう危険性があるということだ。 こうした危険を克服するためには、セッティング事象を機能的に定義する必要が出てくる【同じ議論は、動機づけ操作(MO)についても言える】。ということで、武藤(1999)では、「セッテイング事象の概念を使用する際のガイドライン」、さらに「メタ概念分析の結果から導き出された新たなガイドライン」が提唱されている。 不定期ながら次回に続く。 |