Copyright(C)長谷川芳典 |
ウォーキングコース沿いで見かけたトノサマバッタ。西洋の鎧をかぶっているように見える。 |
【連載】「刺激、操作、機能、条件、要因、文脈」をどう区別するか?(31)1991年のHayes論文(2)Technological to a fault 昨日に続いて、 Hayes, S. C. (1991). The limits of technological talk. Journal of Applied Behavior Analysis, 24, 417-420. についての考察。初めのところで、「言語的構成物4つの次元」についてHayes(1978)の引用がある。 Hayes, S. C. (1978). Theory and technology in behavior analysis. The Behavior Analyst, 1, 25-33. 1978年と言えば、私はまだ博士後期課程の2年生の頃であった【エベレスト街道トレッキングに出かけた記録はある】。Steven C. Hayes先生は、私より4歳だけ年上であり、日本で言えば博士後期課程を修了してオーバードクターでさまよう時代に入っているころかと思うが、「The Behavior Analyst」誌の創刊号にこういう論文を書いているのだからスゴい。ちなみに、私がHayes先生のお名前を知ったのは、 Rule-Governed Behavior Cognition, Contingencies, and Instructional Control. が刊行された頃であった。分厚い本の編著者になられるくらいだから、私より20歳くらい年上だと思っていたら4歳しか違わないことが分かり驚いたことがあった。 さてHayes(1991)のほうでは、初めのあたりで、 Science can be divided into four levels of increasing scope (Hayes, 1978): technique (how to do it), method (how to know it has been done), theory (how to talk in a systematic fashion), and philosophy (assumptions about how to view the world).という記述がある。ここでいう4つのレベルというのは、
なお、この特集号では編集者から「if we are technological to a fault」という課題が与えられているようだ。この「technological to a fault」をどう訳せばよいのか戸惑ったが、 ●He is generous [lenient, faithful, honest, hospitable] to a fault. (欠点といってよいほど)寛大(など)すぎる【研究社 新編英和活用大辞典】 といった訳例があることから、「私たちの応用行動分析は、欠点と言ってよいほどまで技術にこだわりすぎていないか?」という意味ではないかと思われるが、見当外れになっている可能性もある。特集号の中には、 Morris , E..K. (1991). Deconstructing “technological to a fault” や、 Baer, D. J. (1991). Tacting “to a fault” Mace, F.C.(1991). Technological to a fault or faulty approach to technology development? というように「technological to a fault」をタイトルに含む論文もいくつかあり、隠居人向けの読み物としてはまことに興味深い。 不定期ながら次回に続く。 |