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【連載】新型コロナ 全論文解読 〜AIで迫るいま知りたいこと〜(2)冬場の感染拡大と、交差免疫、マスクによる微量感染効果 昨日に続いて、11月8日に放送された、 新型コロナ 全論文解読 〜AIで迫るいま知りたいこと〜 という特集番組についての感想と考察。番組ではまず、 ●この冬日本の感染者数は増加するか? という話題が取り上げられた。 その前に11月12日以降の最新情報をいくつかピックアップしてみると、
番組によれば、冬場の感染拡大のリスクとしては、
このうち3位の「ビタミン」というのは「冬場の日照時間不足により、免疫力を維持する体内のビタミンDが減少する」というリスクであり、確かにこのところのヨーロッパや北海道での感染確認者数増加の一因になっているように思われる。 1位と2位に関しては、「気温35℃、湿度60%」という「夏条件」と、「気温24℃、湿度20%」という「秋口の条件」でプラスチックに付着した新型コロナウイルスの生存時間を比較したところ、「夏条件」ではおよそ2時間であったのに対して、「秋口の条件」では15時間も生き続けたという研究があるという。このことから、低温と乾燥が強まる冬場にはさらに感染者が増えるリスクがあるという。 上記のリスクは世界規模で均一と思われるが、これまでこの連載で何度か取り上げてきたように、欧米地域と東アジア地域では、明らかに感染者、死亡者数に違いが出ていることも考慮する必要がある。番組で示されたデータによれば、人口100万人あたりの死亡者数は、
ではなぜ東アジア地域では感染の影響が小さいのか?ということだが、番組では1つの説として、交差免疫説が紹介された。ある論文によれば、新型コロナで重症化した人の割合は、季節性コロナに感染していない人では28.1%にのぼるが、過去5年間に感染したことのある人では4.8%に過ぎなかったという。また、東大の先生の研究によれば、日本人では交差免疫を持っている人が52人中75%にのぼっていることが分かったという。コロナウイルスによる風邪は、東アジア地域で頻繁に流行を繰り返してきたため、感染しにくく、また重症化しにくいことが示唆される。 このほか、日本人では以前から習慣化していたマスク着用が、新型コロナの感染を微量化し、それを繰り返すことで抗体が少しずつ作り出されて免疫細胞が訓練され、知らぬ間に免疫力を獲得できたという可能性も指摘された。この可能性については、大規模な抗体検査を実施すればすぐに分かると思うのだがどうだろうか。 但し、今回の番組に出演されたゲストの宮坂先生によれば、交差免疫は可能性であってまだ科学的には証明されていないという。また抗体の中には良い抗体(ウイルスを攻撃する抗体)と悪い抗体(ウイルスの感染を拡大する抗体)があり、必ずしも良いことばかりというわけではない。なお宮坂先生によれば、「日本人の重症化を抑える要因」としては、他に、生活習慣や遺伝子なども考えられているが現時点ではまだ確認されていないという。また、同じくゲストの高山先生は、日本人が重症化しにくいと言っても、高齢者の死亡率は12%になっているなど、決して安心できる傾向ではないと指摘されていた。 また宮坂先生は、マスク着用が感染を減らすことは確かだが、それが「【微量感染を繰り返すことで】免疫力を高める」ためなのか、「吸い込むウイルス量を減らす」ためなのかはまだ分かっていないと指摘された。 次回に続く。 |