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昨日の日記で旧・京山タワーの金環日食現象が近づくと記したが、12月6日の夕刻、太陽と旧・京山タワーがほぼピッタリ重なる光景を眺めることができた。太陽のほうが大きくて旧・京山タワーからはみ出して光っているように見える(=「金環日食現象」)と思い込んでいたが、じっさいは、京山タワーにスッポリ隠れる「皆既日食現象」であった。 |
【連載】#チコちゃんに叱られる!「お経ってなに?」/般若心経を機械翻訳してみると? 11月20日に初回放送された、NHK チコちゃんに叱られる!の感想と考察。 本日は、
番組では、「生きている人が楽に生きていくためのお釈迦様のアドバイス」が正解とされ、最も人気のあるお経として般若心経が取り上げられた。お坊さんが般若心経を唱えながら、同時通訳で口語通訳をするという試みはなかなか興味深い取組であった。 ちなみに般若心経はNHKの100分de名著でも取り上げられたことがあり、私もその時に学んだことがあった【その時の講師の佐々木閑先生(花園大学国際禅学科教授)が今回も登場されていた】。このほか、唯識の科学性についても、未熟ながら少しばかり考えを述べたことがあった。 ここからは番組内容から外れるが、日本で紹介されている般若心経は、サンスクリット版ではなくて漢字ばかりで記された漢訳版、つまり中国語になっている。ならば、DeepLで機械翻訳ができるはずだとさっそくやってみたが、ウィキペディアの「代表的な流布テキスト」をまるごとコピペして中国語から日本語に翻訳してもらったところ、殆ど意味不明の日本語になってしまった。特に、終わりの部分は、 ですから、私たちは知っています。 Prajna-paramita. これが大カルマ汁です。 それは、優れた門限です。 それは至高のカーリキューです。 それが至高のジュースです。 すべての苦しみを取り除くことができます。 本物とは思えない本物のカーリングディスクです。 Prajnaポリメタルジュースを使用することができます。であり、「至高のジュース」、「ポリメタルジュース」、「菩薩の呪い」、「カバの呪い」というトンデモない訳になってしまった。いっぽう英語に翻訳された般若心経をDeepLで日本語に翻訳してもらったところでは、かなり的確な訳になっていることが分かった。 般若心経には、【初音ミク】般若心経ポップとか薬師寺寛邦 キッサコのライブなどが知られているが、現代語訳を歌詞にした演歌やフォークソングなどがあってもよいのではないかと思う。 ちなみに私は、若い頃から宗教に対しては否定的であったが、これは、天国とか極楽浄土を仮想した世俗的な宗教に対して、そんなモノあるはずが無いと考えていたためである。しかし、そもそも仏教は、極楽浄土を目ざすものではない、唯識という哲学に基づいて、生きている人が楽に生きていくための道についてアドバイスをしてくれる考え方であるということがだんだん分かってきた【これは般若心経ではなく華厳経?】。また、唯識論が唯心論と異なるという点も多少分かるようになってきた。 私は、この世界が虚構であるとは思わないが、人間はこの世界にそっくりそのまま接しているわけではない。この世界に働きかけ、言語反応を形成し、さらに関係反応を派生していくなかで、この世界についての言語的構成物を作り上げ、その中で生きている。また、この世界に接しているというのはあくまで「いま、ここ」の瞬間に過ぎないのだが、じっさいには、それに過去の思い出や将来の見通しといったその人が独自に派生させた反応を重ね合わせて現実に接している。そういう意味での「世界」はもはや客観世界ではありえない。「この世界のすべての物事は縁起、つまり関係性の上でかろうじて現象している」という唯識の考え方も、まさにその通りであろうと思わざるを得ない。 但し、「識」のメカニズムがあらかじめ人間に備わったものであるとか、神仏によって授けられたものであるという考えがあるとすればそれには賛成できない。「識」はあくまで、言語共同体の中で経験を重ねていくことで習得されていくものであると思っている。 |