じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 1月12日朝、岡山市では湿った雪が降り、屋根にはうっすらと雪が積もっていた。しかし、気象庁のデータによれば、1月12日の降水量は0ミリとなっていた。降水量が0ミリの日でも初雪、終雪、降雪日数などにカウントされるのかどうかは未確認。カウントされる場合は、気象庁職員が目撃すれば降水量0ミリでも降雪になるのだろうか。

2021年1月13日(水)



【連載】「刺激、操作、機能、条件、要因、文脈」をどう区別するか?(44)杉山尚子先生の講演(9)佐藤方哉先生の研究(3)

 すっかり間が空いてしまったが、2020年12月24日に続いて、

●佐藤方哉 (1993).刺激性制御研究の30年. 慶應義塾大学大学院社会学研究科紀要, 36,89-100.

の感想と考察。

 さて、前回も述べたように、この論文では弁別刺激の細かい分類のほか、強化随伴性についても、「自成的随伴性」、「自然的随伴性」、「社会的随伴性」、「偶発的随伴性」の4通り、オペラントについては、「直接オペラント」と「間接オペラント」に大別されたあと、「間接オペラント」はさらに、「観察オペラント」、「信号オペラント」、「信号作成オペラント」、「私的信号作成オペラント」などに細かく分類されていた【94頁、表5】。

 この論文で特に意義深いのは、高次弁別オペラントという概念である【95頁】。これに該当する事例としてはまず「般性模倣」【「般化模倣」】が上げられている。
個別的な模倣は,示範者の同様の行動が<機会設定性弁別刺激>として機能し当該の行動を制御する<単純弁別オペラント>であるが,般性模倣が生じる段階では示範者がはじめて示した行動がうむ刺激が<反応直示性弁別刺激>として機能して,示範者がはじめて示した行動であってもそれと同様の行動を制御する<高次弁別オペラント>が形成されているわけである。【96頁】

 そして次に挙げられているのがSidmanの刺激等価性研究であった。また表7では高次弁別オペラントは制御様式として「形式的」、「主題的」があり、信号指示オペラントは、「形式的」の場合は「般性同一見本合わせ」、「主題的」の場合は「般性恣意的見本合わせ」と名付けられていた。「恣意的」というと、関係フレーム理論に出てくる「恣意的適用可能な関係反応」が連想される。もっとも、この論文より少し前に刊行されていたHayesらの論文は引用されていない【但しRFTの本は1994年刊行なので、佐藤(1993)より後になる】。
 佐藤(1993)はさらに“意志”の問題にも言及されている。
我々は“意志”が強いとか弱いとかいうことをよく口にする。しかしながら,行動分析学は人間の自由意志というものの存在をはっきりと否定している。だからといって,行動分析学は“意志”といわれているものの分析を拒むものではない。私のみるところでは,我々が自由意志に基づく行動と受け取っているものは,自分自身に向けて自発されたマンド(mand)によって生じる自己言語刺激を反応直示性弁別刺激として自発された行動である。したがって,“意志”の問題もまた刺激性制御の問題の一つなのである。【97頁】


 ここからは私の感想になるが、Catania(1996, 1998)による般化オペラントの定義については、

Barnes-Holmes, D., and Barnes-Holmes, Y. (2000), Explaining complex behavior: Two perspectives on the concept of generalized operant classes. The Psychological Record, 50, 251-265.
に批判的な指摘がある【2016年8月30日の日記ほか参照】。

 いずれにせよ、“意志"を刺激性制御の問題として分析の対象とするという佐藤先生の指摘は、ぜひとも引き継がれていってほしいと思う。

不定期ながら次回に続く。