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1月20日の日記に、岡大七不思議の1つ「落ちないモミジバフウ」が完全に落葉した写真を掲載したが、津島東キャンパスのサンカクバフウ(三角葉楓)のほうは、まだ葉をつけている木がある。葉っぱそのものは枯れているが、葉柄と茎の切断のしくみがうまく働いていないようだ。
なお、写真はデジカメのミラーモードで撮影したもの。紅葉時の写真が楽天版(2020年12月30日)にあり。 |
【連載】ヒューマニエンス「“目”物も心も見抜くセンサー」(3)白目が人をつないだ(2) 昨日に続いて、 NHK ヒューマニエンス 40億年のたくらみ の感想と考察。 番組では白目の役割に続いて、演説の際の視線の活用が慣習に与える効果についての話題が取り上げられた。視線を特に上手に活用したのはオバマ・元大統領であり、就任演説の際には、(本人からみて)右側に64回、左側に62回も視線を送っており、しかも、言葉を発する前に視線を向けており、親和欲求を高めているという。そういえば、バイデン新大統領が演説する時の視線はほとんど一定方向を向いているように見えた。菅総理も、原稿を読む時以外は多少上を向くが、視線はあまり動かしていないようである。 番組では取り上げられていなかったが、映画やドラマの登場人物は、観ている人に対しては決して視線を向けない。これによって、描かれている世界と観ている側の世界は完全に分断される。いっぽう、ニュース番組などでは、視聴者に視線を向けて喋る人が多い。このほか、どの位置から拝んでも、視線が参拝者のほうを向いているように感じられる仏像がある。 番組の終わりのところでは、顔文字の文化差という興味深い話題が取り上げられた。 日本型の顔文字の場合は、
しかし、これらの顔文字はアメリカでは通用しないという。結城雅樹先生(北大)によれば、アメリカ人が使っている顔文字は口の形で気持ちを表現しているものが多いらしい。リンク先にもあるように、欧米型の顔文字としては、
結城先生の実験によれば、目の形と口の形が矛盾するような顔文字(「口は笑っているが目は悲しい【目は「ハ」口は平べったい「U」」の形】、「目は笑っているが口元は悲しい【目は「^ ^」口は平べったい「∩」の形】」)を見せて、それらがどの程度の幸福度を表しているのかを回答してもらったところ、日米の学生で正反対の傾向(日本人の学生は目の形で判断、アメリカ人の学生は口の形で判断)が見られたという。 このほか、日本、イギリス、イタリアのチームによる国際共同研究によれば、7カ月の赤ちゃんが表情を弁別する際、日本の赤ちゃんは目を見るが、イギリスの赤ちゃんは口を見るという違いがあることが分かったという。これは、生得的なものではなく、おそらく、赤ちゃんに接する親の態度の違いが、目や口のいずれかに表れやすく、どちらが弁別刺激として利用されやすいかという学習によるものと思われる(日本の赤ちゃんにとっては目の形のほうが弁別刺激として利用しやすく、イギリスの赤ちゃんにとっては口の形のほうが弁別刺激として利用しやすい)。 ここからは私の感想になるが、データに示された通りで、顔文字の文化差は確かに存在すると思われるが、そのことと、じっさいの顔を見た時の表情判断が、目の形と口の形のいずれに注目するかというのは分けて考えたほうがよいように思う。赤ちゃんの実験については原典を読んでいないので何とも言えないが、「目を見る」とか「口を見る」とかいっても、赤ちゃんが弁別できるほど、目や口の形が変わるとは信じがたい。たぶん、声の影響もあるのではないか。 また、顔の表情というのは文脈によっても判断される部分がある。以前、スペースシャトルのチャレンジャー号の爆発事故のあと、宇宙飛行士の家族の表情の写真が放送されたことがあったが、確か、打ち上げ直後の歓声を上げている写真と、爆発直後に悲痛な表情になっている写真が取り違えて伝えられたことがあったと記憶している。極度に感情が高ぶっているときの表情というのは、喜んでいるのか悲しんでいるのか判別がつかないこともある。 このほか、コロナ禍のもとでマスクを着用すると口元が見えなくなるが、このことが、口元の形を手がかりにして相手の表情を読み取っている?欧米人と、目の形を手がかりにしている?日本人の、マスク着用への抵抗感をもたらしている可能性もあると指摘されていたが、これまた何とも言えない。 |