じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 文法経駐車場北側のミモザが見頃となった。残念ながら、西側の1本は1月30日の強風で根こそぎ倒れてしまったが、倒れた状態で花を咲かせていた。

2021年3月1日(月)



【小さな話題】2021年京大・文系数学の整数問題の拡張

 2月27日の日記で、今年の京大の文系数学の入試問題の1つ、

●pが素数ならばp4+14は素数でないことを示せ。

という整数問題に言及した。この問題自体はそれほど難問ではなく、たぶん以下のように解くことができる。

(1)p=3の時、p4+14=34+14=95 となり95は素数ではない。
(2)pが3以外の素数である時、pは3の倍数ではないので、3n±1と表すことができる。但しnは整数でn≧1。
(3)p4+14=(3n±1)4+14
(4)ここで、(3n±1)4+14≡(±1)4+14≡(±1)4-1≡0 (mod3)
(5)よって、pが3の倍数ではない時、p4+14は3の倍数となる。
(6)pは2以上なので、p4+14≧30。よってp4+14が3となることはない。【3は素数なので、上記(5)だけでは「素数にならない」という証明にはらないため】
(7)pが素数であるならば、p4+14は(1)または(5)のいずれかとなるので素数にはならない。

 この証明を拡張すると、元の問題は、

●pは自然数である。pが3の倍数でないならばp4+14は3の倍数であることを示せ。

というように作りかえることができるはずだ。では、なぜわざわざ「pが3の倍数でないならば」とせずに「pが素数ならば」としたのだろうか? 察するに、
  • 「p=3」の場合に言及しているかどうか。
  • 「p4+14は3の倍数である」という証明だけでなく、「p4+14は素数3にはならない」ことに言及しているかどうか。
というような場合まで気配りが行き届いているのかどうかを試しているのかもしれない。

 元の問題に戻るが、この問題は、
  • pが素数ならばp2+14は素数でないことを示せ。
  • pが素数ならばp20+14は素数でないことを示せ。
  • pが素数ならばp1000+14は素数でないことを示せ。
と書き換えてもよいはずだ。あるいは、
  • pが素数ならばp4+1001は素数でないことを示せ。
  • pが素数ならばp4+2021は素数でないことを示せ。
  • pが素数ならばp4+3m-1は素数でないことを示せ。但しm≧1
と書き換えてもよいはず。2021年の入試なので、2021すればよかったかもしれない[
]上記の書き換えの中には「pが素数ならば」という条件を必要としない場合があるかもしれないので要注意。

 もう1つ、上記にも関連するが、3の倍数とならない整数を2乗した数は、必ず3n+1となる(n≧0)。いっぽう、3の倍数は2乗すると3nとなる。興味深いのは、3n+2、つまりどんな整数を2乗しても、それを3で割った余りが2になることはないという点にある。冒頭の解法で、

(3n±1)4+14≡(±1)4+14≡(±1)4-1≡0 (mod3)

と書いたが、じっさいは、

(±1)4≡((+1)2)2(mod3)

となる。元の問題で言えば、「pは3の倍数ではないので、3n±1と表すことができる。」のあとに「(3n±1)は2乗すると3m+1と表すことができる。」としてもよい。

 このことに関連した例題として、中学生向けに、以下の問題を作ることができる。
n×n個のリンゴがある。これを同じ数になるように3人で分けたい。nが3の倍数でない場合、リンゴはいくつ余るか。
上記に述べた通りで、リンゴは必ず1個だけ余る。2個余ることは決して無い。