Copyright(C)長谷川芳典 |
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昨日に続いて、明け方の空の写真。 3月10日の朝は、地平線付近に薄雲がかかっていたが、月齢26.2の月を撮影することができた。双眼鏡では土星(3月10日の7時57分に、3°41′まで月に接近)や木星も見えていたが、写真には写っていない。 |
【小さな話題】2021富山大の整数問題と、いとこ素数、セクシー素数 鈴木貫太郎さんのYouTubeで、富山大の2021年前期の数学の整数問題が解説されていた。孫引きになるが、この問題は、 p>3、pとp+4が素数であるとき、というような内容であったようである。 このうち(1)は、まずpが素数の場合は、pは必ず、 p=6n±1 となることを示し【p=6n±2の時とp=6n±4は偶数、p=6n±3の倍数となるので、p>3となる素数は存在しない】、さらに、p=6n-1の時は、p+4=6n+3となってp+4は3の倍数になるがこれはp+4は素数であるという仮定に反する。以上から、p>3、pとp+4が素数であるあらば、必ずp=6n+1で表されるため、6で割った余りは1になることが証明できる。 次の(2)は、(1)でp=6n+1となることから、p+2は6n+1+2=6n+3となり3の倍数になることが証明できる。 問題は(3)である。この種の問題では、(1)や(2)の解法をヒントとして(3)を解くというのが常道かと思うが、鈴木貫太郎がほんのちょっと漏らしておられたように、(3)を解くだけであれば(1)や(2)の解法を応用する必要はないように思った。私の解法は以下の通り。
ということで、合同式などを用いなくても、また(1)や(2)をヒントにしなくても(3)を解くことができるように思う。 ところで、元の問題の「pとp+4が素数であるとき」という仮定は、差が4である素数の組という意味である。これは「いとこ素数 cousin primes」と呼ばれている。ウィキペディアのリンク先に挙げられているように、小さいほうから、 (3, 7), (7, 11), (13, 17), (19, 23), (37, 41), (43, 47), (67, 71), (79, 83), (97, 101)... などが知られている。リンク先によれば、いとこ素数は無数に存在すると予想されており、双子素数と同じく漸近の密度をもっているらしい。 差が4である素数の組をいとこ素数というなら、差が6である素数の組は何と呼ばれるかということになるが、こちらは、「セクシー素数」と名づけられているようである。ウィキペディアによれば、セクシーの由来は、ラテン語で 6 が sex であることに由来するものであると説明されていた。 いとこ素数の場合は、(3,7,11)を除いて3組にはならない【(n, n+4, n+8)のどれかひとつは必ず3で割り切れてしまうため】が、セクシー素数の場合は、(7, 13, 19), (17, 23, 29), (31, 37, 43), (47, 53, 59)とか、(5, 11, 17, 23), (11, 17, 23, 29), (41, 47, 53, 59), (61, 67, 73, 79)というように三つ組や四つ組が存在する。またそれらが無数に存在するかどうかは分かっていないという。セクシー素数の五つ組は(5, 11, 17, 23, 29) に限られる。これは比較的簡単に証明できる。セクシー素数の五つ組は(5, 11, 17, 23, 29)に限られることから、セクシー素数の六つ組は存在するとしても必ず(5, 11, 17, 23, 29)を含まなければならないが、29に6を足した35は合成数なので六つ組は存在しない。となれば七つ組以上も存在しない。 以上をさらに一般化すると、差がnであるような素数の組は、nがどんな値であっても(但し、nは2以上の偶数)存在するのか、存在した場合、nが大きくなるにつれて素数の個数はどう変化するのかといった疑問が出てくるが、ネットで検索したところ、こちらにそれらしき論文があったが、私の数学力では読みこなすことができなかった。このほか、差を固定するのではなく、連続する2つの素数の差を問題にした研究がいろいろあるようだ。この問題は、さらにリーマン予想にも発展しているようだ。私には証明のプロセスは全く理解できないが、死ぬ前にせめて、「ついに解決した!」という結論だけでも知っておきたいところである。 |