じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 「接写で楽しむ雑草の花」。今回は、オッタチカタバミ【写真上】とアカカタバミ【写真下】。いずれもウォーキングコース沿いで普通に見られる。オッタチカタバミは普通のカタバミに比べると背が高い。アカカタバミは葉っぱが赤紫色なのですぐに区別できるが、接写すると、花の中心部に赤いリングの模様があることが分かった。

2021年4月12日(月)



【連載】ヒューマニエンス「“死” 生命最大の発明」その3 死と有性生殖

 昨日に続いて、4月1日初回放送の、

「“死” 生命最大の発明」

についての感想・考察。

 番組では、テロメアに続いて、テロメアを修復するテロメラーゼが働く場所が、生殖細胞に限られているという話題が取り上げられた。精子や卵子、それらを生み出す大もととなる生殖細胞では、テロメアが短くならないため、細胞分裂に限界がない。そのおかげで、精母細胞からは、毎日、1億以上の精子が新たに生み出されているという。また卵母細胞からは卵子が分裂するが、テロメアの役割については、番組内容からはよく分からなかった。【こちらにも説明されているように、卵子になる卵母細胞は、女性が一生涯かけて排卵するすべてを胎児のときに生産し終わって、体の中に蓄えられている。】

 ここで再び、ジョブズの、
死は、古き者を消し去り、新しき者への道をつくる。/It clears out the old to make way for the new.
という言葉が引用された。小林先生(東京大学・定量生命科学研究所)によれば、「生殖細胞」が不死だからこそ生物は進化した、ということになる。けっきょく、織田さんの「妄想」として語られたように、

「古い個体」を無理に生かすより、「新しい個体」をつくる方が効率的

となり、少なくとも、進化の上では、老いること、新しい生命に道を譲ることは必然ということになりそうだ。

 「死」と生殖の関係について、さらに、無性生殖や有性生殖との関連が説明された。小林先生が説明されたように、無性生殖は個体が分裂していくため「死」は存在しなかった【←外部要因により、ある場所でまるごと死滅することはあるだろうが】。
 番組では、無性生殖より有性生殖のほうが優位になる可能性として、多様な子孫を生み出すことで、結果的に、親よりも優秀な(適応的な)子どもを産み出せるという可能性が指摘された。これは、単に「多様性の維持」だから優位というわけではない。環境がさまざまに変化していくが、事前に予測はできない。全く変わらない個体を再生産するよりも、多様なタイプを作っておいたほうが、その中のどれかが生き残る可能性が高いということであろう【というか、地球のような変化の激しい環境のもとでは、多様性を産み出せるような生殖システムをもった種のほうが結果として繁殖しやすかった、と考えるべきであろう】。

 次回に続く。