じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 少し前から、教育学部東の芝地に奇妙な構築物が出現している。美術系の教室に隣接していることから何らかの現代アートと思われるが、何を描いているのかは不明。なお、ハトは偶然。

2021年4月15日(木)



【小さな話題】偉人たちの大臨終スペシャル〜人生のしまい方〜

 4月3日にNHK-BSPで放送された表記の番組についての感想・考察。

 この番組は、3月25日に最終回となったはずの「偉人たちの健康診断」と同じ出演者が登場しており、位置づけがよく分からなかった。内容は、
  1. 本人が望まない形で突然死、事故死、処刑された人たちの最期(武田信玄、上杉謙信、アムンセン、野口英世、マリー・アントワネットなど)
  2. 秀吉の臨死体験?
  3. 人生のしまい方(すべてを捨てることを選んだトルストイ、充実した晩年を過ごした伊能忠敬と松浦静山)
というような構成であったが、「こういう死に方もあります」という事例を列挙するばかりであって、全体として何を言いたかったのかよく分からなかった。とはいえ、個別的には、私の知らなかった事例もいくつかあり、大いに参考になった。

 まず1.のところでは、野口英世の死が印象に残った。野口英世は1928年1月に体調を崩しその後回復したが、御自身はこれを黄熱病であると自己診断し、その時点で終生免疫を獲得したと思い込んでしまった。その後、5月になってホンモノの黄熱病にかかり死亡。(終生免疫が続くはずの黄熱病に再度罹患したのを不可思議に思いながら)「どうも私には分からない」と発言。この言葉が最後の言葉になったとされている。

 2.の臨死体験についてはヒューマニエンス「“死” 生命最大の発明」でも取り上げられていたが、ヒューマニエンスではエンドルフィン、今回はアセチルコリンの役割が強調されていた。といっても私にはその違いはよく分からない。
 今回の番組によれば、死が近づくと脳幹でアセチルコリンが大量に分泌され、覚醒状態と睡眠状態の切り替えがうまくいかなくなり、さまざまな錯覚が生じるようになる。具体的には、視覚野では強い光を感じるという錯覚が生じる。また大脳辺縁系では記憶や感情に関係する錯覚が生じ、これがすでに死んだ家族や仲間と会ったというような臨死体験をもたらす。
 さらに、幽体離脱の体験は、脳の中の側頭頭頂接合部(視覚と自分の体の位置感覚を統合している部位)がうまく働かなくなったことによる錯覚であるとされた。これに関連して、小鷹研理先生(名古屋市立大)の指導による、幽体離脱を疑似体験できる実験が紹介されていた。台の上の見えている所にゴムの手、自分が見えない台の下に自分の手を置いて、同時に刺激を加えると、脳は、ゴムの手を自分の手であると錯覚し、かつ、自分の手がゴムのような弾力性を持つと感じてしまうという。これに関連したさまざまな実験は、こちらの公式サイトで詳しく紹介されている。

 最後の3.では松浦静山(松浦清)の隠居後の活躍が詳しく紹介されていたが、うーむ、これって「死に方」ではなく「晩年の生き方」を紹介したものであり、大臨終スペシャルには該当しないのではないか?という気もした。