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「接写で楽しむ雑草の花」。今回はワルナスビ。駆除が厄介な迷惑雑草のチャンピオンだが、同じ場所に背の高い雑草が繁茂すると、日当たりが悪くなり、いくらか繁殖が抑えられるようだ(その状態で草刈りをすると、切れた地下茎がばらまかれてますます増殖する)。 花自体は美しい。 |
【連載】ダーウィンが来た!「鳥の言葉が分かる!聞いてびっくり鳥語講座」その1 5月23日に放送された表記の番組についての感想・考察。 鳥の言葉を学ぶ「鳥語講座」というタイトルを見て大いに期待したが、2019年3月27日に放送された「又吉直樹のヘウレーカ!スペシャル」で紹介された内容と一部重複しており、期待したほどの新鮮味は無かった。言語行動をどう定義するのかにもよるが、「鳥が言葉を喋る」と見なせるのかどうか、あるいは「彼ら【鳥】にはひょっとしたら人間と同じような意図や意識があって、豊かな思考の中で言葉を発しているのではないか(鈴木先生・談)」と言えるのかどうか、については甚だ疑問。少なくとも今回紹介された事例であれば、行動分析学のオペラント強化の理論で充分に説明可能であって【但し、一定の制約や、刷り込みのような要因も関与する】、わざわざ言語とか意図・意識といった概念を持ち込む必要はないように思えた。 番組ではまず、「第1章 楽しく学ぼう!鳥語講座基礎編」と題して、カラ類(エナガ、コゲラ、シジュウカラ、ゴジュウカラ、メジロ、ヤマガラ、ヒガラなど)などの混群で、異種間のコミュニケーションが成立していることが紹介された。具体的には、
もっとも、こうした現象を「混群の鳥たちが、別の種の言葉を理解している」、「お互いの鳴き声を理解しあうことで会話が成り立っている」と解釈して良いかどうかは大いに疑問である。このWeb日記でも何度か書いているように、言語行動とコミュニケーションは同一ではない。例えば、サバンナに水場があれば多くの動物がそこに集まる。遠くにいる動物にとっては動物が群れているという行動自体が「ここに水があるぞ」という手がかりとなる。また、群れている動物が一斉に逃げ出す光景は、「ライオンに襲われるぞ」という警戒信号として機能する。餌がある場合も、猛獣に襲われそうな場合も、それぞれの事態に対応した鳴き声を発することは、他の仲間が生存する確率を高めることになるが、そればかりでなく、そうした音声を手かがりとして利用できる別種の動物もまた生存の確率を高めることになるだろう。 ここで留意すべき点は、サバンナの水場に集まる行動や逃げ出す行動、あるいは特定の事態に対応した鳴き声を発する行動は、いずれもそれぞれの個体が「勝手に」やっている行動であるということだ。それが他の種の動物によって利用されるかどうかは単純な弁別行動の問題であって、「理解する」とか「会話している」ことにはならない。 重要なポイントは、それぞれの鳥が発する鳴き声は、レスポンデント行動としての側面とオペラント行動としての側面を両方兼ね備えているという可能性である。レスポンデント的な鳴き声というのは、何らかの重大事態(天敵が近づいている)に誘発されて反射的に発せられる行動である。いっぽうオペラント的な鳴き声というのは、後続事象(結果)によって、増えたり減ったりするような行動である。 鳥がオペラント行動を自発できることは、ハトのキーつつきのオペラント条件づけの実験を見れば明らかであるが、鳴き声については何とも言えないところがある。オウムやインコはさまざまな鳴き真似をするが、餌が欲しいときに「エサ、ちょうだい」、水を飲みたい時に「水、ちょうだい」と喋らせること(=マンド)はできない。いろいろなモノを見せてその名前を発声させること(=タクト)ができるのかどうかも疑わしい。では、鳴き声は100%レスポンデントなのかというと、そうでもなさそうな場面も報告されている。後述するが、「警戒音を発して、餌を横取りする」というような騙しができるとするなら、これは明らかにオペラント行動ということになる。 次回に続く。 |