【連載】ヒューマニエンス90分SP 「人間を生んだ力とは?」その1 「性のゆらぎ」
5月29日にNHKのBSPで初回放送された、ヒューマニエンス〜40億年のたくらみ〜、
●90分SP 「人間を生んだ力とは?」
についての感想と考察。
ちなみにこの番組は2020年10月に開始され、6月4日の時点で、
- 「オトコとオンナ “性”のゆらぎのミステリー」
- 「“聴覚” 世界をつかむ精緻な進化」
- 「“腸” 脳さえも支配する?」
- 「“体毛” 毛を捨てたサル」
- 「“嗅覚” 生命のバロメーター」
- 「“自由な意志” それは幻想なのか?」
- 「“指” ヒトとサルの分岐点」
- 「“思春期” リスクテイクの人類戦略」
- 「“目” 物も心も見抜くセンサー」
- 「“心臓” 心が宿る もう一人の私」
- 「“スリル” 限界を超える翼」
- 「“ウイルス” それは悪魔か天使か」
- 「“血液” 魔法の体液」
- 「“皮膚” 0番目の脳」
- 「“ダンス” ヒトはなぜ踊るのか」
- 「“死” 生命最大の発明」
- 「“がん” それは宿命との戦い」
- 「“出産” ヒトは難産を選んだ」
- 「“涙” 秘められた魔法のチカラ」
- SP 「“性とウイルス” 人間を生んだ力とは?」
- 「“衣服” 服を着るという進化」
- 90分SP 「人間を生んだ力とは?」
- 「“天才” ひらめきのミステリー」
という23のエピソードが放送されているが、私自身は上掲のうち#1.と#10と#20以外はすべて録画しており大部分はすでに視聴しているのだが、なかなか感想・考察を記す時間がとれていない。今回は、90分スペシャル版ということで、上掲のうち、性、ウイルス、血液、腸。細胞のエピソードを再編集し、人間を生んだ力を総合的に分析するというような内容になっていた。なお、これらの内容のうち前半部分は、上掲の#20「“性とウイルス” 人間を生んだ力とは?」と同一内容と推測されるが、#20はどうやら4月29日の22時から放送されたものであり、通常の20時からの放送とは異なる時間枠であったため、録画できていなかった。今回、なぜ、#20の再放送ではなく、改めて90分SPとして放送されたのかは不明である。
さて、今回のSPではまず、「性はゆらいでいる」というテーマのもとで、従来、「性染色体がXY(「46,XY」)なら男、XX(「46.XX」)なら女」というように二分法で考えられていた性が、その間に、「46,XY,del(Y)」、「47,XXY」、「46,XY,/46,XX」、「45,X」というように多様なバリエーションがあり単純に分けられないことが分かってきた、という最新の知見が紹介された。また、精巣があっても女性型の人もいれば、卵巣があっても男性型の外性器になる人もいるので、精巣と卵巣の有無から男女を二分することもできないと説明された。但し現行の法律では、国内で出産した場合は原則生後14日以内に出生届を提出しなければならず、その届には男女いずれかを記す必要があるので、2週間以内に社会的な性を選択する必要に迫られる。もちろん、性同一障害などで後に性を変更することもできるが、その際には家庭裁判所に申し出が必要となる。
番組では続いて、遺伝子に依らずに性を決定している動物の例が紹介された。
- カクレクマノミは、群れで生息する場合、いちばん大きな個体がメス、2番目に大きな個体がオス、それ以外は未成熟。メスが死亡すると、2番目に大きかったオスは、メスに性転換し、3番目に大きかった個体が新たにオスとなる。
- アオウミガメの性別は、卵が成長する巣の中の温度によって決まり、温度が高いとメスが生まれる確率が高くなる。ネットで検索したところ、温暖化でウミガメの性比に異変?という記事もあることが分かった。
- このほか、メスだけで単為生殖ができるコモドオオトカゲやシチメンチョウの写真が紹介されていた。
Y染色体については又吉直樹のヘウレーカ!でも取り上げられたことがあった。その時の黒岩麻里先生が今回の番組でも登場しておられたので、このことについては次回以降に取り上げることとしたい。
次回に続く。
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