じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 半田山植物園の臨時休園が続いているため、代替のウォーキングコースとして、西川用水脇を歩いていたところ、メタルな鳥居の神社が目にとまった。ネットで検索したところ、豊宇気神社(トヨウケジンジャ)であることが分かった。
 無人であり、社務所は、元日に三社参りで訪れた御崎宮、天神社と共通であるようだ。著名な建築家による設計と思われるが、いつ、どういう経緯で今のような造りになったのかは確認できなかった。


2021年6月8日(火)



【連載】ヒューマニエンス90分SP 「人間を生んだ力とは?」その5 腸、心臓、皮膚の独立性

 昨日に続いて、NHKヒューマニエンス〜40億年のたくらみ〜

90分SP 「人間を生んだ力とは?」

についての感想と考察。

 番組では、「血液の多様性の謎」に続いて、腸の役割が紹介された。この話題については、ヒューマニエンス#3「“腸” 脳さえも支配する?」で詳しく取り上げられたことがあり、これまでの放送の中でも特に強いインパクトがあった。

 まず、とにかく、腸の形は脳によく似ており、直観的にも類似性があるように見える。じっさい、ヒドラのように、血液や心臓や脳を持たず、腸と触手だけで生活している生物もいる。その腸の周りには網目状の神経があり、その動きをコントロールするためにこれが体の中心に神経節が作られ脊髄の原型ができあがる。さらに、脊髄の一部に神経細胞が集まり脳が誕生したと考えられているという。
 また、福土先生(東北大学)によれば、殆どの古典的な神経伝達物質は腸の中にも存在する。具体的には、セロトニン、ノルアドレナリンなど。要するに腸の中の物質が使い回されて脳の中で使われるようになったということらしい。
 そう言えば、#6の「“自由な意志” それは幻想なのか?」という回でも、脳の活動以前に意思決定が行われるというような事例が紹介されていた。食物の選択はもとより、動機づけに関わる様々な行動も、まず腸のレベルで「意思決定」がなされ、それが脳に伝わって自動的に遂行されているだけかもしれない。
 このことに関連して、出演者の能町みね子さんが、夢野久作『ドグラ・マグラ』に言及しておられた。小説の中では、能が全てを命令しているのではなく、じつは体の全部が独立して命令しているということを唱える人物がいるという。このことについて、同じく出演者の高橋源一郎さんは、「近代文学や宗教に流れているヒューマニズム、人間中心主義という考え方は脳中心主義。夢野久作は、近代文学に反対していた。」というようにコメントしておられた。
 ウィキペディアによれば、この小説は、日本探偵小説三大奇書に数えられており、「本書を読破した者は、必ず一度は精神に異常を来たす」とも評されているそうだが、残念ながら私は読んだことはない。青空文庫で公開されているので、いつでも閲覧できるのだが、私のような読解力の無い人間には読破は困難と思われる。これを機会に、もう少し分かりやすい作品を、こちらの書庫の中から選んで、読んでみようかと思っている。

 元の話に戻るが、石野先生は、「科学も脳中心主義の時代に生まれているが、下等生物からの進化の過程を見ると脳は無くても発生できる。脳は統合するのに役立つから存在。人間の場合はプラスαで、物を考える機能がついた。...【中略】...生物学的な「ヒト」はダーウインの進化論で説明できるが、自分で考えたり、文字を作ったり、次の世代に知識を伝えられるように「人間」に変わったところで進化の様相が変わる」【←長谷川の聞き取り】というように論じておられた。

 番組では腸以外の臓器の役割についても取り上げられていた。
  • 通常、心臓は脳に対して「従の関係」と考えられているが、脳から心臓に行く情報と、心臓から脳に行く情報を比較すると、心臓から脳に行く情報のほうが8〜9割を占めている。
  • 体の末端にある皮膚は、光、色、音などの感知に関わっており、脳の指令を受けずに独自に動いている。
 さまざまな臓器や皮膚が、ある程度、脳とは独立して機能していることがよく分かった。

 次回に続く。