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生協マスカットユニオン(北福利施設)入口に、恒例の七夕飾りが設置された。「世界平和」とか「コロナ終息」ではなく、個人的な願い事が多いように見受けられる。 |
【連載】ヒューマニエンス 「“天才” ひらめきのミステリー」その2 大脳基底核の役割 昨日に続いて、6月3日にNHKのBSPで初回放送された、 ヒューマニエンス〜40億年のたくらみ〜「“天才” ひらめきのミステリー」 についての感想と考察。 番組ではTsetsos, Chater, & Usher (2012)の実験の一部再現に続いて、詰将棋の問題をわずか1秒見せて次の一手を答えるという課題で脳のどの部分が活動しているのかを解析するという興味深い話題が紹介された。この実験には羽生九段を含めたプロ棋士100名以上とアマチュア高段者が参加。その結果、正答率は、羽生九段は80%、他のプロ棋士たちも70〜80%であったが、アマチュア棋士たちは40〜50%にとどまった。fMRIによる解析によれば、大脳皮質の活動にはプロとアマで顕著な差は見られなかったが、そのいっぽう、脳の深いところにある大脳基底核では、プロの棋士のみで活動が確認された。一般に、思考では、前頭連合野と頭頂連合野が働いていると考えられてきたが、プロ棋士はそれに加えて大脳基底核の働きがあることが確認された。大脳基底核は進化的には古い脳であり、行為の選択や自動化の学習(習慣の形成および実行)に関与しているという。 プロ棋士のひらめきについては、田中寅彦九段からも「アマチュアの方は算数をやっているような感じ、プロは音楽か美術をやっているような感じ。絵画を見ているような感じで次の一手にいきつく」というコメントがあった。また、大脳基底核の活動レベルと詰将棋正解率の間には正の相関があり、大脳基底核の選択こそ、ひらめきの本質であると強調された。なお番組冒頭では「直感」と表記されていたが、この時点からは「直観」という表記に置き換えられていた。 将棋に関してはもう1つ、大学生20名が3ヶ月間「5五将棋」を訓練したところ、上達するにつれて大脳基底核が活性化されるようになったという。 以上を踏まえて田中啓治先生は、大脳基底核には、直観にかかわる2つのパーツがあり、このうち淡蒼球(たんそうきゅう)は「待てよ」という抑制の働きがあり、もう1つの線条体は、その中の1つの情報をリリースする役割を果たしていると解説された。 大脳基底核に関する話題は以上であったが、私が疑問に思ったのは、このことが本当に「天才のひらめき」の源であるかという点であった。天才の定義にもよるが、大脳基底核の活動は、羽生九段以外のプロ棋士でも確認されており、また5五将棋が上達した大学生でも見られるという。なので、一般的な「ひらめき」の源に大脳基底核があるとしても、羽生九段特有のパターンではないゆえ、プロ棋士の中で羽生九段が特別の天才であるということは説明できていない。番組のタイトルは「“天才” ひらめきのミステリー」となっていたが、ここまでの内容は、凡才でも獲得可能な「ひらめき」機能であり、であるならタイトルは「ひらめきと天才」というように「ひらめき」のメカニズムと、天才の特徴を並列的に扱うべきであったように思われた。 次回に続く。 |