じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 某所でチョウトンボの乱舞を観察していたところ、白いシャボンのように空気中をフワフワ漂っている微小物体を見つけた。手のひらで煽って捕獲したところ、泡にまみれた昆虫であることが確認できた。ワタムシの仲間ではないかと思われる。
 その後この昆虫は、自力で飛び立った。泡を付けたままどうやって飛行できるのか不思議だ。


2021年7月17日(土)



【連載】ヒューマニエンス 「“睡眠” ヒトは眠りで進化した?」 その4 レム睡眠その3

 昨日に続いて、 6月24日に放送されたNHKヒューマニエンス

「“睡眠” ヒトは眠りで進化した?」

についての備忘録と感想。

 レム睡眠の研究として次に紹介されたのは、林悠先生(京都大学)によるレム睡眠遮断実験であった。マウスは睡眠時に、ノンレム睡眠と、覚醒またはレム睡眠を小刻みに繰り返すが、レム睡眠に入るたびに起こし続けると、レム睡眠をたっぷりとるようになった。このことから、レム睡眠にはノンレム睡眠では補えない重要な役割があることが示唆された。さらに、

Yu Hayashi, Mitsuaki Kashiwagi, Kosuke Yasuda, Reiko Ando, Mika Kanuka, Kazuya Sakai , and Shigeyoshi Itohara. (2015). Cells of a common developmental origin regulate REM/non-REM sleep and wakefulness in mice. Science, Nov 20;350(6263):957-61.

という論文で発表された、レム睡眠のon/offを切り替えることのできるマウスを使った研究によれば、レム睡眠を遮断されたマウスではノンレム睡眠自体の質も低下することが示された。人の眠りに当てはめると、レム睡眠が適度に挿入されることが、その互い違いのリズムがノンレム睡眠の質を維持することが示唆された。

 さらに、上田泰己先生によれば、ノンレム睡眠中には、神経細胞と神経細胞の間のシナプスが次々と新しく作られているという。いっぽうレム睡眠の時には、それを壊したり補強したりしている。これらが繰り返されることで、覚醒時には解けなかった難問が解決する場合もある。こうしたスクラップ&ビルドは、進化の自然選択とよく似ており、個体内においては自然選択に類似した現象が毎晩4〜5回起こっていると説明された。以上から睡眠は大切なチャンスであり、無理をして睡眠時間を減らすことはせっかくのチャンスを逃す、勿体ない行為であると結論された。

 ここからは私の感想になるが、何度か述べたように、私自身は日々規則的な生活を守っており、21時頃には就寝、朝5時過ぎに起床という習慣をずっと守っている。そのため、不眠に悩まされることは滅多にない。稀に、引越作業、高速道路の長時間運転、長時間の登山などで非常にくたびれることがあるが、睡眠中に夢を見た時には翌日にもすっかり疲労が回復している。いっぽう、くたびれきって深い眠りに入り、一度も起きずに朝を迎えた時は、翌日にも眠気がとれていないことがある。これはおそらくレム睡眠が充分に取れなかったためと推測される。

 ところで、今回の番組では全く言及されていなかったが、睡眠薬はレム睡眠とノンレム睡眠にどういう影響を与えるのだろうか。今回の内容をふまえると、単にノンレム睡眠だけを導入するような睡眠薬では、レム睡眠が確保できないため、精神的な疲労は回復できないかもしれない。薬だけでノンレム睡眠とレム睡眠のリズムをコントロールできるのかどうかはよく分からない。

 次回に続く。