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【連載】ヒューマニエンス 「“睡眠” ヒトは眠りで進化した?」 その3 レム睡眠その2 昨日に続いて、 6月24日に放送されたNHKヒューマニエンス、 ●「“睡眠” ヒトは眠りで進化した?」 についての備忘録と感想。 番組では、レム睡眠の役割についていくつかの研究が紹介された。 まずは、山中章弘先生(名古屋大学)の「レム睡眠中、MCH神経の活動により海馬の記憶が消去される」という研究であり、サイエンスZEROで紹介された内容と同一であった。 Izawa, et al. (2019) REM sleep-active MCH neurons are involved in forgetting hippocampus-dependent memories. Science, 365, 1308-1313. 5月14日の日記の一部を再掲すると、
ちなみに、これに類似した現象は、食物摂取に関連した「新奇性恐怖(neophobia)」としても観察できる。いっぱんに雑食性の動物は、今まで食べたことのない食物を警戒し、全く手に取らないか、ほんの少しだけ食べるが、繰り返し摂取するうちに次第に摂取量を増加させる。このプロセスを「特定食物に対する安全学習」として捉えるのか、それとも、新奇性恐怖の消失として捉えるのかは、実験条件を変えることで区別できる。このあたりは、私が大学院生の頃に取り組んだ課題であった。 次回に続く。 |