【小さな話題】東京2020パラリンピック その2
8月29日に続いて、パラリンピックの感想。
東京パラリンピックが9月5日に閉会した。前回も述べたように、パラリンピックの競技を観戦するのは今回がたぶん初めてであった。東京オリンピックの時と異なり、オンデマンドでの観戦はしなかったが、夕食後に陸上競技の生中継を視ることが多く、トータルの視聴時間はオリンピックの時とあまり変わらなかった。以下、備忘録を兼ねて感想をいくつか。
- オリンピックには無かった競技種目がたくさんあった。中でも、ボッチャという競技は今回初めて見た。NHKの解説記事によれば、
ボッチャは、脳性まひなどの比較的重い運動機能障がいがある人のためにヨーロッパで生まれたスポーツ。試合は対戦形式で、1対1の個人戦と2対2のペア戦、3対3のチーム戦がある。6個のボールを順番に投げて、ジャックボールと呼ばれる白いボールにいかに近づけるかを競う。ボールは投げても、転がしても、蹴ってもよく、投球フォームは自由。「氷上のチェス」とも呼ばれるカーリングに似ていて、相手のボールを弾いたり、ジャックボールに当てて動かしたりと、戦略性に富んだ競技だ。
かなり重度の障がいがあっても参加できるし、観戦者から見ても興味深い展開がある。
- 8月29日の日記で「視覚障がい者の競走種目では伴走者も重要な役割を果たしており、優勝すれば一緒に金メダルを獲得してもよいような気もする。」と書いたところであるが、マラソンや5000メートルなどの競技では、メダルを貰えることがあると知った。5000メートル以上の競技では伴走者は途中で交代することができるが、メダルを貰えるのはフルコースを走った場合だけである。実際、今回の表彰式では、選手と共に共に表彰台に上がった伴走者のうち、フルコースを走った者だけがメダルを授与されていた。なお放送では一貫して「ガイドランナー」という呼称が使われていた。
- 競泳種目のインタビューでは、金メダル獲得の木村敬一選手の「『この日』のために頑張ってきた。『この日』は本当に来るんだなと思って、今とても幸せな気持ちでいっぱい」という喜びの声と、銀メダルを獲得した富田宇宙選手の「金メダルを目指していて、銀メダルなので本当は悔しがらないといけないのかもしれないけれど、木村くんが金メダルをとってくれたのが本当にうれしい」という木村選手を称える声が印象に残った。
- 陸上競技では、陸上女子400メートル知的障害のクラスに出場した外山愛美選手が、手の甲に決意を書いているのが印象に残った。決勝出場の際に右手に書かれていたのは「人生は変えられる責任と自立」であった。
- 国・地域別メダル獲得数をオリンピックの時と比較してみると、ざっと見渡した限りであるが、
- オリ・パラどちらでもメダルが多い国:中国(パラリンピックは金96、銀60、銅51で1位;オリンピックは金39、銀41、銅33で2位)、イギリスなど(パラリンピックは金41、銀38、銅45で2位;オリンピックは金22、銀21、銅22で4位)。
- オリンピックはメダルが多いが、パラリンピックは相対的にメダルが少ない国:日本(パラリンピックは金13、銀15、銅23で11位;オリンピックは金27、銀14、銅17で3位)、ドイツ、フランス、ケニア、ジャマイカなど。
- オリンピックはメダルが少ないが、パラリンピックは相対的にメダルが多い国:アゼルバイジャン(パラリンピックは金14、銀1、銅4で10位;オリンピックは金0、銀3、銅4で67位)
というように特徴があることが分かった。
素人なりに推測してみるに、
- 医療技術が進歩した先進国では、事故や感染症によって生じる障がいの程度が軽いため、相対的に障がい者の数が少ない可能性。
- 20〜30年以内に戦争を体験した国、あるいは交通事故対策、感染症対策が不十分な国では、相対的に障がい者が多い可能性。
などが考えられる。
アゼルバイジャンがパラリンピックで日本を上回る金14を獲得したというのは突出しているように見えるが、金メダルの内訳を見ると、競泳4、柔道6、陸上4となっていた。競泳のロマン・サレイが3個の金メダルを獲得したことが大いに貢献しているものの、それだけでは説明できず、謎である。
- 東京オリンピック・パラリンピックの応援ソングとしてパプリカがあったと思ったが、大会の中継などでこの歌が流れることは無かった。いっぽうカイトのほうは度々流れていた。この違いはなぜ? このほか、競技場内で、国歌演奏以外の時間帯に流れていたBGMが耳に残ったが、曲名は未確認。
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