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【連載】新型コロナとABO血液型(1) 9月11日の東洋経済記事、 ●新型コロナ感染率「血液型で異なる」科学的根拠 なぜ「O型は重症化しづらい」と言われるのか が目にとまった。登場されているのは藤田紘一郎先生。藤田先生は、これまでにも、免疫学の視点から「血液型と性格」について肯定的な見解を発表しておられる。10年ほど前には心理学ワールド46号にも関連記事を寄稿しておられた(←ネットで検索したところ中西大輔先生が批判的な見解を述べておられた)。なので、今回、藤田先生が、新型コロナに関連して述べられた内容については、ほぼ予想通りで、驚くには当たらないとも言える。 ちなみに、私自身は、2020年8月4日の日記にも述べたように、 このWeb日記で何度も主張しているように【相当昔だが、資料集あり】、私は、人々をABO血液型でタイプ分けして性格、適性、相性などの違いを喧伝することには断乎反対してきた。血液型の違いが全く影響しないと決めつけることはできないが、仮に影響があったとしてもそれは微々たるものであって、具体的な行動傾向や職業適性を決定づけるものではない。かつてテレビでは血液型ステレオタイプを誇張したバラエティー番組がさかんに放送され、中には幼児のスイカの食べ方が血液型によって異なるなどというトンデモシーンが紹介されたことがあった【幼稚園児・保育園児を血液型別に保育するなどというのはとんでもない差別だ】。そういう俗説は差別偏見を助長するだけであり、人種差別主義と同様にこの世界から排除していかなければならない。という立場を表明しているところであるが、同時に、こうした差別偏見の問題と、遺伝子型や生理学的レベルにおける血液型と感染症の相関研究は区別する必要があると考えている。例えば、新型コロナにA型が重症化しやすいという傾向が実証されたのであれば、当然、A型者から優先的にワクチンを接種すべきであろうと思っている。 2020年8月4日の執筆時点で知り得た情報としては、こちらの記事で引用されていた論文があり、その中では 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を発症し、呼吸機能が低下して酸素吸入または人工呼吸器が必要になるリスクは、血液型がA型の人で45%高く、O型の人では35%低い。という傾向が示されていたという。 今回の記事では、
大規模な統計調査だけでは、国別の医療体制の格差、民族別の習慣の違い、所得の格差などが反映する可能性があり、有意差が出たからといって直ちにX型は重症化しやすいといった結論は出せないようにも思われるが[※]、血液型別の免疫力の差違について医学的な根拠があるのであれば、その点にはしっかり耳を傾ける必要があるだろう。 [※]例えば、ある民族でX型者が圧倒的多数を占めていたとして、その民族が医療体制が不完全な国に多く住んでいたり、同じ国の中でも低所得層に多かったとすれば、結果的に「X型者は重症化しやすい」というデータが出てくるだろう。 でもって、藤田先生は、これまでの統計データで「O型は他の血液型と比べて感染率も重症化率も低く、反対に、A型とAB型は高い傾向がある」ということを前提とした上で、 なぜ、血液型によって違いが見られるのでしょうか。理由については、まだ明らかになっておらず、さらなる調査が待たれるところです。と述べておられる。要するに、「理由についてはまだ分からない」とちゃんと断っておられるのだが、そのあとの段落以降は「1つの可能性として考えられるのは」という前提で、持論が詳しく述べられている。私が理解した範囲で要約させていただくと、
私自身は免疫学については全くの素人であり、上記の抗体のメカニズムについては何もコメントすることはできないが、お説の通りにO型者が免疫力が強く、AB型者が最も弱いというのであれば、今回の新型コロナワクチンにおいても、まずAB型者から優先的に接種を開始したり、AB型者が感染した場合には優先的に入院させるという措置をとるべきであろう。また、そのことを確信している専門家はあらゆるルートを通じて、そういった優先措置を実施するように政府や自治体、専門家会議に訴えかけるべきであろうと思う。 次回に続く。 |