じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 チコちゃんの番組で、血管の色が青に見えるのは錯覚で、本当は灰色に近いという話題が取り上げられていた【↓の本文記事参照】。さっそく私自身の腕の血管を接写して画像処理ソフトでRGB値を計測したところ、「R;181、G:143、B:107」というような数値【但し、計測箇所により数値は変動】が得られた。Bの値が少ないことから、少なくとも青色ではないことが確認できた。


2021年10月17日(日)



【連載】#チコちゃんに叱られる!「血管の色が青に見えるのは錯覚で実は灰色」

 昨日に続いて、10月15日(金)に初回放送されたチコちゃんの番組の考察と感想。本日は、
  1. ナッツはなぜおいしい?
  2. 血は赤いのに血管が青く見えるのはなぜ?
  3. NHKの技術は すごいわよアワー「宇宙用超高感度カメラ」による夜景と「満地球の出」
  4. 「アンティーク」と「ヴィンテージ」の違いってなに?
という4つの話題のうち2.について考察する。

 この血管の色については、番組では「目の錯覚で、実は灰色である」と説明された。解説者として登場したのは、北岡明佳先生(立命館大学)であった。北岡先生と言えば、錯視研究の大家として知られているが、チコちゃんの番組ではどうやら初登場というのは少々意外であった。そう言えばチコちゃんの番組で錯視が取り上げられていたという記憶は無い[]。
5月21日の放送で「曖昧な模様が人の顔に見えるのはなぜか?」という話題が取り上げられたことはあった。この時の解説は、高橋康介先生(立命館大学)。

 北岡先生によれば、血管は本来は半透明であり、赤血球の色である赤に見えるはずだが、実際には肌の色に近い灰色となる。実際に血管の写真をRGBで数値化してみると、番組の実験では「R:183、G:180、B:165」となり灰色に近い色であることが確認された。私自身も自分の腕の血管を接写して、画像処理ソフトでRGBを測定してみたがやはり灰色に近いと確認できた【↑の写真記事参照】。

 ここで、問題を整理すると、
  1. 本来の血管の色は、赤血球の色である赤に見えるはずなのに、なぜ灰色なのか?【真の物理現象】
  2. 本来灰色に見えるはずの血管の色が青く見えるのはなぜか?【静脈錯視】
という2つの疑問が生じる。

 このうち1.については、「皮膚に入った光の吸収率の違い」であると説明された。太陽から腕に届いた光のうち青と緑(の波長に相当する)光は血管を覆っている皮膚である程度吸収されて、残りが目に届く。いっぽう、赤に相当する波長の光は、皮膚を通過して血管まで届く。そうすると、血管から反射した赤い光と、皮膚自体が反射する青と緑の光の割合がほぼ同じとなり、結果的に灰色の光になるということのようだ。
 ではそれにもかかわらず、血管はなぜ青色に見えるのか? 北岡先生によれば、私たちは似た色が近くにあるが、どちらか一方の色を別の色に変えて知覚してしまう。肌の色も血管の色も似たような灰色に近いが、この場合、よりくすんだ血管の色は、肌の色の反対色にあたる青色に錯覚してしまう。

 上記の錯覚によく似た現象として、番組では、
  • 同じ色の2つのハート図形の上に縦縞のスリットを重ねると、違った色に見える。【ムンカー錯視】
  • 同じ色の灰色の正方形が、背景の灰色の明度の違いにより、違った色(明るさ)に見える。
という実験が紹介された。これらの錯視は北岡先生の公式サイトの中の、解説記事などで実際に見ることができる。

 次回に続く。