じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 10月18日朝はよく晴れ、備前富士(芥子山)の頂上から日が昇る「ダイヤモンド備前富士現象」を眺めることができた。サムネイルの画像は、ホンモノの富士山に似せて縦横比を2:1に変形してある。
 なお今回初めて気づいたが、「ダイヤモンド備前富士現象」の期間は、太陽が備前富士の影に隠されていて高度が高くなってからの日の出となるため、地平線の低い位置からの日の出に比べるとかなり明るい。このことが「ダイヤモンドのように光る」と形容されたのかもしれない。

2021年10月18日(月)



【連載】#チコちゃんに叱られる!「満地球の出」「アンティークとヴィンテージの違い」

 昨日に続いて、10月15日(金)に初回放送されたチコちゃんの番組の考察と感想。本日は、
  1. ナッツはなぜおいしい?
  2. 血は赤いのに血管が青く見えるのはなぜ?
  3. NHKの技術は すごいわよアワー「宇宙用超高感度カメラ」による夜景と「満地球の出」
  4. 「アンティーク」と「ヴィンテージ」の違いってなに?
という4つの話題のうち、3.と4..について考察する。

 まず3.の働き方改革企画「NHKの技術は すごいわよアワー」では、NHKが開発した宇宙用超高感度カメラで夜の地球を撮影したことと、2007年に打ち上げられた「かぐや」に搭載されたハイビジョンカメラHDL-40の話題が紹介されていた。後者のHDL-40は、世界で初めて「満地球の出」を撮影した。「満地球の出」は太陽と月と地球が一直線に並ばないと撮影できない貴重な映像であり、撮影チャンスは1年に2回だけであるという。
 この後者の話題だが、撮影チャンスがなぜ年2回になるのか疑問に思ったが、番組では説明されなかった。
 「満地球の出」という現象がいつどこで起こるかということから考えてみるが、私が知る限りでは、月面では、どこに降り立っても、月の地平線から地球が昇る様子を眺めることはできないはずだ。これは月の「おもて」面が地球の方向を向いて地球の周りをまわっているためであり、月の「おもて」面の中心のあたりでは地球は常に天頂付近に見えている。また、月の「おもて」面の端っこでは、地球は月の地平線すれすれに見えることになる。ごく僅かなブレ(秤動)はあるが、月面から見える地球の方位や仰角は常に固定されている。
 でもって、月面から見た地球は、月の公転とともに満ち欠けを繰り返すように見える。「満地球」が見えるのは、地球から見える月が新月になった状態であり、月面から満地球が見えるチャンスは、太陰暦で毎月1回あるはずだ。それがなぜ年2回なのかということだが、これは、かぐやが月の周りを固定された軌道で周回しており、月の地平線すれすれの位置に向けられたカメラの視野内に地球が入るタイミングが限られているためと思われる。もし、かぐやのカメラのうちの1台が常に地球方向に向けられていたなら、満地球自体は毎月1回(太陰暦)撮影できたはずだ。
 かぐやが月面のいろいろな場所をまんべんなく撮影できるのは、別段、かぐや自身が自力で動き回っているからではない。かぐや自身はエネルギーを使わず、慣性の力で同じ場所を周回しているが、月の方が勝手に自転しているため、撮影できる地点もそれに伴ってずれていくのである。




 最後の4.の「アンティーク」と「ヴィンテージ」の違いについては、番組では「100年たっているかどうか」であると説明された。「アンティーク」についてはアメリカの法律で明確な定義があり、もともとは1830年より前に作られたモノとされていた。これは産業革命以前に手作業で作られていた時代のモノに対応しており、そういう価値のあるものを輸入しやすいよう、法律で関税免除の措置がとられた。その後、1966年の関税法改正によって、100年以上前に作られたモノであれば1830年以降に作られていても免税対象となることが定められたという。
 いっぽう「ヴィンテージ」は定義が曖昧。もともとはワイン業界で「ブドウの収穫年を特定できるワイン」という意味であり、もともとは「古い」という意味はなかった。「アンティーク」という言葉があるのに「ヴィンテージ」が使われるようになったのは、第二次大戦で多くのアンティークが失われたことによるらしい。またジーンズ業界では、染料がインディゴ染料から硫化染料に移行した1978年より前のモノをヴィンテージと呼ぶ。また一般的には、戦後以降に作られた古くて価値のあるモノをヴィンテージと呼ぶらしい。但し、こうした定義は日本の法律では決められておらず、今回紹介された基準が当てはまるわけではないということだった。