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ウォーキングのついでに岡大・津島北キャンパスにある誕生池に行ってみた。工学部前の睡蓮池と異なり、こちらの誕生池のほうはまだ何種類かのトンボが飛び回っていた。 |
【連載】ヒューマニエンス「山中伸弥スペシャル iPS細胞と私たち」(2)ネズミに効かないが人間に効く薬、個体差 昨日に続いて、10月7日に放送された表記の番組についての感想・考察。 番組の初めのあたりでは、iPS細胞の研究が治療研究に有用であるという例として、ALS(筋萎縮性側索硬化症)が紹介されていた。この話は以前にもどこかで耳にしたことがあったが、私は、萎縮していく筋肉を補うためにiPS細胞から新たな筋肉を作り出すということかと思っていた。 しかし実際はそうではない。ALSの治療にどういう薬が有効かどうかを確かめるために、マウスの代わりにiPS細胞(から作られた神経細胞)を活用するというものであった。 普通、病気の解明はマウスを使って行われるが、ALSの場合、その原因となる遺伝子をマウスに埋め込んでも、なぜか病気を発症しないものがいた。といっても人間そのものの脳や脊髄から直接神経細胞を取り出すことは患者さんを傷つける恐れがある。そこで、岡野栄之先生(慶應義塾大)の研究室では、まずALS患者から血液を採取し、その中に含まれる免疫細胞(T細胞)を取り出した。それに(ブロックを外して万能細胞にするための)4つの遺伝子を入れていったんiPS細胞を作り出したのち、今度は神経細胞になるように誘導した。その神経細胞を観察すると、時間とともに神経突起が短くなり消滅するという、ALS患者の体内で起こっているのと同じ現象が再現された。そして、すでに別の病気の治療薬として承認されている薬を使って、その現象を止める効果を確認したところ、ALSの進行を抑える薬(ロピニロール塩酸塩)が見つかったという。すでに承認されている薬であれば人間に投与して安全なので、マウスを使わなくても人間に有効かつ安全な薬を見つけ出せる可能性がある。 このことに関連するが、ネズミに効いて人間には効かない薬もあれば、逆にネズミに効かないが人間に効くこともあるという。しかし伝統的な研究の流れの中では、ネズミに効かないと承認されないという風潮があるらしい。また山中先生によれば、人間の中でも個人差があり、同じ遺伝子を持っていても異なる症状がある場合もあれば、薬の効き方が違う場合もあるという。アルツハイマー型の認知症でも、一人一人に合った治療薬があるらしい。 ここからは私の感想になるが、マウスと人間で発症の有無や薬の効き方に違いがあるというのは確かに重要な問題であると思う。もっとも、マウスではALSが発症しにくいということは、マウスが治療研究に使えないことを示すものでは必ずしもないはずだ。なぜマウスで発症しないのかを解明すれば、人間で発症する原因の究明にも繋がるように思う。 さまざまな病気において薬の効き方が違うということも重要な視点であるが、個々の患者の遺伝子型を調べ、患者ごとに抽出した細胞を万能化した上でその人に合った最適の治療薬を選び出す、ということは相当のお金と手間がかかる作業であり、少なくとも私が生きているうちに実用段階に入れるとは到底思えない。大富豪、国家元首、天才科学者などであれば優先的にそのような治療を受けられるようになるかもしれないが。 次回に続く。 |