じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 GOTOイートin岡山の使用期限が11月30日[]となっているため、このところ毎週のように夫婦で回転寿司屋に通っている。もともとは、孫たちがやってきたときにどこかに食べに行こうという目的で買い込んだものであったが、新型コロナの緊急事態宣言で一度も実現せず、夫婦だけで消費することになった。このプレミアム付食事券は1冊1万円で12000円相当の食事ができることになっており、いっけんお得なように見えるが、ふだんはこんなに頻繁に外食にでかけることはない。結果的に我が家も外食産業の支援に貢献したことになった。
]※券面では6月30日が期限となっているが、緊急事態宣言で11月30日まで延長された。

2021年11月12日(金)



【連載】ヒューマニエンス「“イヌ” ヒトの心を照らす存在」(3) 異種間で連動するオキシトシン/犬は飼い主に似るか?

 昨日に続いて、10月21日に初回放送された表記の番組についての感想・考察。
 番組では続いて「イヌと“心がつながる”証拠発見」というテーマで、オキシトシンの話題が取り上げられた。

 紹介されたのは、菊水健史先生(麻布大学)のグループの研究で、出典は、Science誌(2015年4月)に掲載された、

Oxytocin-gaze positive loop and the coevolution of human-dog bonds. Science. 348, 333-336.

という論文であり、無料で閲覧できる。
 番組ではその一部を模した実験として、イヌと飼い主5人(すべて女性)に、別々の部屋で1時間過ごしてもらい、唾液採取により飼い主のオキシトシン濃度を測定した。1時間引き離された時点での濃度と、再会してイヌと触れあった直後の濃度を比較したところ、5人中3人ではオキシトシン濃度が増加することが確認された。この実験では残りの2人は逆に濃度が低下しており、統計的には全く有意とは言えない結果であったが、実は残りの2人が飼っていたイヌは再会前から部屋の外で吠え続けており、飼い主はそれを聞いていたため、再会前からオキシトシンが出ていて濃度が増えなかったのではないかと説明された。
 また元々の論文では、飼い主ばかりでなくそれぞれのイヌのオキシトシン濃度も測定、また正確に比較するために、唾液ではなく尿中の濃度が測定された。その結果、再会後の触れあい直後には、ヒトでは3倍以上、イヌではおよそ2倍に濃度が増えたことが確認されたという。

 これまでオキシトシンは、同種間(つまりヒトの親子、イヌの親子など)のふれあい間で分泌されることが確認されてきたが、この研究では、ヒトとイヌという異種間のふれあいで増加しており、からだ全体でヒトとイヌの家族化が起こっているという点が重要であると論じられた。

 ヒトとイヌの間では、喜びばかりでなくストレスも共有されているという。飼い主がストレスを感じるとイヌもストレスを感じる。但し、共有されると両者のトータルのストレスは軽減されていくという。
 このことに関連して、俗に言う「犬は飼い主に似る」は本当であり、性格ばかりでなく顔まで似てくると言及された(トークパートナーの山田五郎氏談)。

 ここからは私の感想・考察になるが、まず、イヌと飼い主の「再会実験」については、厳密な実験計画としては、対照群の設定が必要であるように思われた。1時間の引き離しのあとのオキシトシン濃度を測定したあと、実験群ではイヌと再会、対照群では引き続き引き離しというようにすれば一応、群間比較が可能。もっとも、「引き続き引き離し」の条件はストレスが増加する恐れもあり、適切な対照条件になっているかどうかは分からない。むしろ個体内比較を繰り返すことで効果の確認ができるかもしれない。
 「犬の顔が飼い主に似る」ということについては、だいぶ前に、中島先生(関西学院大学)の研究【翌日以降にも続く】を取り上げさせていただいたことがあった。但し、その後のご研究の発展については把握できていない。ま、今回の番組内容から言えば、いつもニコニコしている人の飼い犬は温和に、いつもイライラしている人の飼い犬は不安定になることは確かかもしれない。それが顔の表情にも反映するかも。

 次回に続く。