じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 この時期見頃となっている皇帝ダリア。11月16日に取り上げたフォト消しゴムというソフトで電線を消去してみた。【まずAIで自動的に電線を消去、その後若干、消し残した部分の消去や、消しすぎた部分の復活を手作業で行った】

2021年11月22日(月)



【連載】チコちゃんに叱られる!「ピアノはなぜ黒い」「カボチャはなぜ硬い」「かかしの語源」

 11月20日に放送された表記の番組についての感想と考察。この回は、
  1. ピアノが黒いのはなぜ?
  2. かぼちゃが硬いのはなぜ?
  3. 田んぼに立つ人形を「かかし」と呼ぶのはなぜ?
という3つの疑問が取り上げられた。

 まず1.だが、確かに大概のピアノは黒に塗られている。番組によれば、その理由は「日本がジメジメしているから」であり、ピアノが発明された当時は木目を活かした茶色であったことが当時の絵などから確認できる。そのピアノが日本で作られるようになった当初は、ヨーロッパより湿気の多い日本では、ウルシを塗って湿気による変形を防ごうとしていた。ウルシ自体は顔料と混ぜることでいろいろな色にできるが、学校教育で使われるため、格式の高い色として黒が選ばれた。また、板の表面が塗装されることで、いちいち木目の素材を選ぶ必要が無くなり、さらに日本製のピアノが輸出される際、輸送途中でキズがついても塗り直しで修復できることなどから、日本製の黒いピアノが世界各地に広まったという【その後、外国で作られるピアノも黒色に合わせられるようになった】。

 番組でも説明されていたように、日本の古来の音階は「ヨナヌキ」であり、西洋の音階にも慣れさせるために、学校教育でも、積極的にピアノが導入されたという。

 ここからは私の考えになるが、「湿気を防ぐため」が一番の理由であったのかどうかは何とも言えないように思う。ウルシを塗る必要があったというだけでは黒には結びつかない。また、ピアノの内部を覗いてみると、グランドピアノのフタの裏側は黒だが、観客から見えない内部は白木のままになっているように見える。湿気を防ぐというなら、外側だけでなく内部の細かい部分まですべて塗装する必要があるのではないだろうか。防湿目的ではなく、格式の高い高い色として黒が選ばれたというのが根本理由ではないだろうか。【なので、式場などでは真っ白に塗られたピアノを見ることもある】

 なお、ピアノネタとしては2年前「ピアノの鍵盤は、なんで白と黒なの? 」という疑問が取り上げられたことがあった。




 次の2.のカボチャの皮が硬い理由は、番組では「野菜史上稀にみる過酷な環境で育ったから」が正解であるとされた。カボチャの原産地は中南米の高温・乾燥地帯であり、水分や栄養を逃さないために硬くなったと説明された。
 もっとも「水分や栄養分を逃がさないように殻が硬くなった」という理由にはもう少し説明が必要であるように思う。カボチャの実は、もともと、子孫を増やすために作られるものであるゆえ、発芽・生育の季節に皮が破れて、中の水分や養分が発芽・生育を助けられるよう、硬さを維持する必要がある。もし、高温多湿地帯のようにいつでも発芽できる環境にあるならば、すぐに実が熟して破れたほうが早く繁殖できるはずだ。カボチャの原産地がどういう気象条件にあるのかは調べていないが、雨期と乾期がはっきりしている地域、あるいは冬の寒さが厳しく植物が育たないような地域であれば、硬い皮をつけることは次の世代の実生に役立つことになると推測できる。
 なお、カボチャには200種類以上の品種があるという。番組ではその中でも珍しい品種として、
  • 巨大カボチャ:アトランティック・ジャイアント
  • 中身がそうめん状態になる:金糸瓜
  • まさかりを使うか、地面に叩きつけないと割れない:マサカリカボチャ
が紹介された。
 ちなみに我が家では、カボチャは電子レンジで熱して柔らかくしてから割っている。2人暮らしなので通常は1/2か1/4にカットされたものを購入しているが、仮にまるごと電子レンジで熱しても、玉子のように破裂することはないと聞いている。




 3.の「かかし」の語源は「嗅がし」であり、かつては人形型のかかしのほか、髪の毛やイノシシの毛皮をくるんで焦がして悪臭を放つようにして田畑に取り付けたものの総称として使われていたという。
 この悪臭の効果だが、鳥の嗅覚はそれほど発達しているとは思えない。おそらくイノシシ、タヌキ、ウサギ、シカなどから田畑を守る効果を期待したものと思われるのだが、実際はどうだったのだろうか。

 あと、いっぱんに、田畑を荒らす鳥獣の数というのは、餌が最も少ない季節にどれだけ生き延びられるのかによって決まってくるように思う。お米の収穫の時期にはたくさんの鳥が集まってくるが、いくら豊作であったからといって、鳥が無限に殖えることには繋がらない。なので、収穫期にかかしで田畑を守るよりもむしろ、冬場の餌が得られないように作物をコントロールすることのほうか被害を防げるようになるはずだ。
※鳥たちの一部が「渡り」をするのは別段、冬の寒さが苦手だからではなくて、子育てに必要な豊富な餌を求めて移動するためと考えられる。「渡り」をしない鳥たちや、地上で暮らす動物たちの場合は、上に述べたように、餌が最も少なくなる時に生き延びられる個体数によって上限が決まってくるはずだ。

 なお、かかしと言えば、子どもの頃、童謡の「案山子」の歌を耳にすることがあり、またこの歌で「山田くん」がいじめられたこともあった。いま考えると、この歌詞は、「歩けないのか 山田の案山子」、「耳が無いのか 山田の案山子」というように、身体障がい者や聴覚障がい者を差別しているような印象を受ける。いまでも歌われているのだろうか。