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毎週日曜日はNHK杯将棋トーナメントの観戦を楽しみにしているが、この日は、羽生善治九段と豊島将之九段による準決勝第2局が放送された。画面上部に表示されるAI評価値によれば、この対局では先手の豊島が序盤から優勢であったが、終盤で豊島九段に緩い手があり羽生九段の評価値が75%まで逆転、しかし、その後、羽生九段にも緩い手が出て一気に豊島九段の評価値が96%まで上昇、そのあとは、羽生玉が必至に追い込まれるいっぽう、豊島玉は羽生九段の攻勢から逃れ、羽生九段の投了となった。AIの評価値というのは、最後まで最善手が指された場合の勝率であると理解しているが、将棋では一手でもミスがあるとたちまち大逆転になってしまう。藤井聡太五冠でもない限り、最善手を指し続けることはなかなか難しそうだ。 ちなみに、今期のA級順位戦は、
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【連載】チコちゃんに叱られる!「おみくじの和歌」「礼金を払う理由」 3月12日に放送された表記の番組についての感想・考察。なお、1月28日の放送のあとはずっと過去の再放送が続いており、新しい放送は約1ヶ月半ぶりであった。この回は、
まず1.については「そもそもそれがおみくじだから」が正解とされた。おみくじは平安時代の「歌占(うたうら)」にルーツがあり、和歌を通じて神様のメッセージを聞くということにあったという。ま、和歌はいろいろに解釈できるので、その分、悩み事の内容にこじつけたり、建設的なアドバイスであるかのように受け止めることもできる。 なお、ウィキペディアによれば、おみくじは中国でもあるという。また、英語版のウィキペディアで紹介されている事例では、和歌ではなく漢文が記されていた。要するに、具体的な予言などを記すと外れるリスクが高くなるゆえ、都合の良い解釈ができるように、また難解な文章で権威付けするために、和歌や漢文をつけているものと思われる。私個人は、おみくじは全く信じないし引いたこともないが、ウィキペディアによれば、2004年の調査で合計134人の若年層(18-25歳)と壮年層(45-65歳)では、おみくじを信じるかというアンケートについて、信じると回答した率は、若年28%・壮年46%と、壮年層に信奉傾向があるというが、あまりにもサンプル数が少なすぎる。 2.の礼金については、「お江戸の町が人口爆発したから」が正解とされた。江戸時代の長屋では、住む場所が足りないという状況のもとで、家守(大家さん)へのお礼という形で習慣化したという。もっとも当時の家守は、家賃の集金のほか、争いごとの仲裁、職のあっせん、住人の身元保証、火事の対応、結婚相手探しなど、ありとあらゆるサポートを行っていたという。賃貸契約の条件として、礼金は、その後、関東大震災、第二次世界大戦、などの住宅不足の中で制度として残るいっぽう、空き家・空室が多い借り手市場では、礼金ゼロをうたった物件も登場するようになる。 ここからは私の推測になるが、何度も述べているように、礼金のルーツが何かということと、今の社会でなぜ礼金という慣習が残っているのかということは別の問題であり、「なんで礼金って払わないといけないの?」という疑問は後者に属するものである。礼金が一番影響を与えるのは住み替えであり、礼金が高いほど住み替えは困難になる。貸主は借主が替わるたびにハウスクリーニングやリフォームをしなければならないし、いったん空き室になると次の入居者が決まるまでは収入がゼロになってしまう。現職時代、私は、何人かの外国人留学生の賃貸の保証人になったことがあったが、ある時、4月に入居した留学生が6月に別の学生マンションに引っ越してしまった。これは契約上は何の問題もないのだが、家主さんから私の研究室に直接電話がかかってきて「6月という時期に退室されると、次の入居者はなかなか見つからない。だから外国人は困る。」と苦情を言われたことがあった。学生マンションの経営は、4月入居、3月退室でまわっているため、中途の空室は好まれないようである。 次回に続く。 |