じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 楽天版に写真を掲載したように、岡大構内では、アンズ、ミモザ、花桃などの花が見頃を迎えている。ソメイヨシノは今のところ大部分が蕾状態だが、大学構内で最も早く開花することで知られる理学部南のソメイヨシノはすでに開花が始まっている。なおこの木については、以前、「オオシマザクラではないか」というコメントをいただいたことがあるが、花の色、葉っぱが付いていないといった特徴から見て、ソメイヨシノで間違いないように思う。

2022年3月21日(月)



【連載】チコちゃんに叱られる!「ニンニク」

 3月18日に初回放送された表記の番組についての感想・考察【岡山では3月19日が初回放送】。この回は、
  1. ニンニクがスタミナのもとなのはなぜ?
  2. 店員さんが「いらっしゃいませ」と言うようになったのはなぜ?
  3. 数字を3桁ごとにコンマで区切るのはなぜ?
という3つの疑問が取り上げられた。本日は1.のニンニクについて考察する。

 放送ではこの疑問に対しては「人間が火を使う生き物だから」が正解であるとされた。生のニンニクを食べる動物は殆ど居ないが、人間は火を使うことで食べやすいように調理することができたという意味。

 有賀豊彦先生(日本大学名誉教授)によれば、ニンニクには弱った体を強くする働きがあり数千年にわたって人間の生活を支えてきた。古くはピラミッドの建設にかかわった労働者たちのスタミナ源として利用されており、壁画にもニンニクの絵が描かれたり、ピラミッドからニンニクの模型が出土していたりするという。しかし、ニンニクは土壌から硫黄成分を吸収し貯め込む性質がある。その成分は細胞の内側にあるが、切ったり擦ったりするとそこから出た酵素と硫黄成分が反応してアリシンという成分に変化する。アリシンには強い刺激臭があり、通常、動物から身を守る効果がある。しかしアリシンは加熱するとスルフィドに変化し強い刺激が無くなる。
 スルフィドは体内に入ると血流を良くすると同時に脂肪を熱に変換するよう働きかける。これにより体温が上昇。さらにスルフィドは副腎を刺激してアドレナリンの分泌も促し、筋肉内の血流を増やす。こうしてスタミナアップができると説明された。

 ここからは私の感想・考察になるが、これまで私が伝え聞いていた効果というのは、主として豚肉などに含まれるビタミンB1の吸収を高めるというものであった。この効果は生のニンニクをすりおろさないとダメであり、上記のような、熱を加えた時の効果とは異なるようであった。その説を信じていたというわけでもないが、以前、ラーメン屋に行った時にはすりおろしたニンニクを大量に入れたり、自分でガーリックラッシャーを使って何粒ものニンニクを絞ったりしていたことがあった。もっとも、ここ数年はラーメン屋には一度も足を運んだことがなく、結果的にそういった形でニンニクを摂取することも無くなった。

 ニンニクというと、免疫力を高めるという効果が広く知られており、NHK首都圏ナビ(2021年4月20日)でも、「コロナ禍でニンニクが大人気!? においを気にせず健康に!」と題して、その効用が紹介されていた。
篠浦伸禎医師
「(アリシンには)ウイルスや細菌を、直接殺菌する効果がある。免疫力を高めてくれることで、間接的にコロナウイルスをやっつける」
但し、アリシンは2時間をピークに分解されてしまうため「ニンニク油」がオススメとされていた。またアリシンを油に入れることで変化する「アホエン」は熱に弱く80℃で分解されてしまうので、【ボツリヌス菌対策をとった上で】そのままサラダやパンなどにかけて食べるのがよいと紹介されていた。

 もっとも、ウィキペディアによると、「アリシンの殺菌効果は強力なため、ニンニクやタマネギ、ニラなどを生で摂取したり、過剰摂取すると、胃腸内に存在する腸内細菌類をも殺してしまい、胃腸障害を引き起こす危険性がある。」という注意点が記されていた。免疫力を高めるには腸内細菌の働きが欠かせないことを考えると、十分な注意が必要かと思う。畑から取ったばかりのニンニクについている可能性のあるボツリヌス菌がなぜアリシンによって殺菌されないのかはよく分からない。

 スルフィドの効果については、ネット上で検索した範囲ではよく分からないところがあった。今回、有賀先生のお話を拝聴した限りでは、アリシンよりもスルフィドのほうがスタミナアップに有効であるようにも思えたが、であるならニンニクは加熱したほうが良いことになる。しかしこれでは、アホエンが分解されてしまうというマイナス効果がある。

 世界各地のニンニク料理が紹介される中で、中国で食事中に生でポリポリ食べているというは有賀先生にとっては驚きであったというエピソードが紹介されていたが、上記のラーメン屋の例にもあるように、日本でも、生のおろしニンニクは昔から使われている。もしかするとピラミッド建設の労働者も生のニンニクを囓っていたかもしれない。なので、「人類は、火を使うようになって初めてニンニクを食べるようになった」というのは必ずしも正解ではないように思われた。

 次回に続く。