Copyright(C)長谷川芳典 |
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新型コロナはまだ収束していないが、岡大では、一昨年来のオンライン授業中心から対面型授業への復帰が進んでいるようである。写真は、文法経講義棟前の駐輪状況。また建物の中からは講義の音声が聞こえていた。 |
【連載】abc予想証明をめぐる数奇な物語(6)オイラー予想、abc予想の反例探し 昨日に続いて、 ●NHKスペシャル「数学者は宇宙をつなげるか?abc予想証明をめぐる数奇な物語【ブログ後編はこちら】 についての感想と考察。59分バージョンをベースにして、4月15日の23時から放送された89分「完全版」を参照しながら感想を述べることにしたい。 まず、昨日の日記で、ノーム・エルキース博士が放送に登場しておられたことについての余談だが、エルキース博士と言えば、オイラー予想の反例を発見した一人として知られている。オイラー予想というのは、 ●n > 3 とすると、n- 1個のn乗数の和を1個のn乗数で表すことはできない。 というものであったが、リンク先にあるように、
275 + 845 + 1105 + 1335 = 1445=61,917,364,224 という計算は1分もあればできる。もちろん1966年当時には電卓は無かったが、当時の大型計算機を使って場合を尽くせば簡単に反例が見つかったのではないかと思うのだが、コンピュータのメモリーというのはその程度の容量しか無いのだろうか。 ちなみに、コンピュータを使ってしらみつぶしに反例を探す取組は、abc予想のほか【後述】、ゴールドバッハ予想についても行われているという。ゴールドバッハ予想の場合は、4×1018まで成立することが証明されているというが、量子コンピュータを使えば遙かに大きな数までチェックできるのではないだろうか。 ここからは元の放送内容に戻るが、ファルティングス博士は望月青年の博士論文のテーマを与える際に、失敗のリスクに配慮して、abc予想ではなく、別のテーマを与えたという。 そのあと、abc予想に取り組んだ何人かの数学者のエピソードが紹介された。
次回に続く。 |