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岡大構内の各所でヘラオオバコが繁殖しているが、某所で、V字型、U字型、Y字型に分かれた花序を発見した。あたりを見渡してみたが、この奇形が見られたのは1箇所のみであった。帯化の可能性が高いが、専門的なことはよく分からない。ルドベキアの帯化の写真はこちらにあり。 |
【連載】ヒューマニエンス「“老化” その宿命にあらがうか 従うか」(1)サーチュイン 2022年4月12日に初回放送された表記の番組についての備忘録と感想。ヒューマニエンスで取り上げられる各種テーマの中でも、死や老化をめぐる問題は、私自身にとって身近な問題であった。もっとも、すでに関連番組を視聴していたこともあって、大概は以前に耳にしたことの復習的な内容であり、へえそうか!と驚くような新しい情報を得ることはできなかった。 放送の冒頭では、栃木県那須郡で現役の理容師として働いている箱石シツイさん(105歳)が紹介された。長時間立ちっぱなしでも問題無し。風邪で寝たことは殆ど無いという。 続いて、「老化を治療する」(抗老化医療)が現実のものになりつつあるという取組が概観された。老いについては、「ナチュラルなプロセスである」と考える立場と、老いは病気の一種であり治療の対象にしようという立場があるが、出演された今井眞一郎先生(ワシントン大学)は、前者に近い立場であるという。もっとも前者の立場は、老化を放置するわけではない。「死」そのものは避けることができないが、「死ぬまで元気でいたい」というPPKを実現するための研究が重要になってくる。 放送で示されたデータによると、平均寿命と健康寿命の差は、これだけ医療が発達しているにもかかわらず20年間で殆ど変わっていないという。その原因は、1つの病気を治してもまた別の病気にかかるためであり、それらの病気の危険因子には「老化」が含まれていることから、老化そのものを遅らせることで病気が回避できると考えられている。 放送では続いて、ワシントン大学にある今井先生の研究室が紹介された。今井先生の研究チームは、20年ほど前に、サーチュイン(Sirtuin)という酵素を発見した。年齢を重ねるとサーチュインの働きが弱まってくる。ウィスコンシン大学では、24歳になる高齢サルの比較実験が行われた。2頭のサルのうち、1頭は年相応に老化が進んでいて毛が抜けたりしわが増えたりしているが、もう1頭は毛並みもふさふさで若々しく見えた【画像を見る限りでは、このサルたちはオスのアカゲザルであるようだ】。2頭の飼育環境の違いは唯一、エサの量であり、若々しく見えたサルのほうは、通常の70%の量しかエサが与えられていなかった。食事を減らしただけでサーチュインが働き老化が遅れたというのである。今井先生によれば、老化や寿命を制御する仕組みは、どれだけ効率よく子孫を残すかというところで働いている。種を生き延びさせるために、食料が不足している時には個体を若々しく保ち、十分な食料が得られるようになるまで繁殖能力を維持する機能であるようだ。じっさい、食料が不足している時に子どもを産んでも、親子ともども餓死してしまうリスクが大きい。そこでサーチュインの働きを強め、子作りを先送りすると同時に、老化を遅らせて子作りの能力を維持しようとする。今井先生はこれを「サバイバルシステム」と名づけた。生命は、歳を取っても元気でいられるシステムをそもそも持っていた。もっともこの成果を人間に適用するのはなかなか困難である。食事の量を70%にするというのは、常にお腹が空腹であるような状態であり、子どもや妊婦には適用できない。 サーチュインのシステムをまとめると、
ここからは私の感想・考察になるが、食事量の少ない人が長生きできるというような話はこれまでにも聞いたことがあった。また、効果は私にはイマイチ分からないが、断食道場に定期的に通うことで健康を保とうとしている人もおられる。サーチュインの働きの話は別としても、飽食状態では肥満が進行するし、日々の食事の美味しさを感じることが少ないため(=食事量が制限されていれば、御飯だけでも味噌汁だけでも美味しく感じるものだ)、飽食であるほど生活習慣病にかかりやすいようにも思われる。 サバイバルシステムに関連してふと思ったが、グレートレースに参加するような人たちは、食事量のほか、筋肉、睡眠などでも、命の危機を繰り返し経験しているように思われるが、サーチュインの働きはどうなっているのだろうか。これまでのレースに参加した選手たちが、どのように老化していくのか興味があるが、残念ながら私のほうが先に死んでしまうため、見届けることはできそうにない。 次回に続く。 |