じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 半田山植物園の園内でヒメウラナミジャノメと思われる蝶を見つけた。もっとも、「(ジャノメ紋は)前翅に一対、後翅に二対」という特徴は一致するものの、他にも、前翅に一対、後翅に三対の小さな紋がついていた。この蝶の裏面には「前翅に一箇所、後翅には五箇所の紋がある」ということなので裏面の紋が表側まで現れてきたのかもしれない。

2022年5月22日(日)



【連載】チコちゃんに叱られる!「フォークの歯はなぜ4本?」「警察が110番 消防が119番なのはなぜ?」

 5月20日に初回放送された表記の番組についての感想・考察。本日は、
  1. 「ニラレバ」と「レバニラ」呼び方が2種類あるのはなぜ?
  2. フォークの歯はなぜ4本?
  3. 警察が110番 消防が119番なのはなぜ?
という3つの疑問のうち、残りの2.と3.について考察する。

 まず2.のフォークの歯が4本である理由だが、放送では「スパゲッティを上手に食べるため」と説明された。フォークが初めて使われたのは古代エジプトであり、当時の歯は2本で調理器具として使われていた。そのフォークが食事用として使われるようになったのは11世紀頃、ビザンチン帝国で使われるようになった。そのビザンチン帝国の姫がヴェネツィア共和国に嫁入りした時にフォークを持ち込み、そこからヨーロッパ中に広まっていった。しかし2本歯では食べ物がボロボロと落ちるため、18世紀には3本歯が主流になった。4本歯のフォークが誕生したのは18世紀中頃のイタリアであり、フェルディナンド王が宮廷晩さん会でスパゲッティをふるまいたいと考えたのがきっかけ。フェルディナンド王はスパゲッティが好物であったことでも知られている。当時の庶民は手づかみで食べるのが当たり前だったが、宮廷という厳粛な場所で手づかみで食べるのはふさわしくないと考え、側近のスパダッチーニにスパゲッティが食べやすいようなフォークを作るように命じ、そこから4本歯フォークが発明された。4本歯フォークは、貴族から庶民へ、広がり、他の料理も食べやすかったため、イタリアから世界中に普及した。
 放送では、マナー講師・平林都先生の立ち会いのもと、番組スタッフが、2本歯、3本歯、4本歯、5本歯のフォークでスパゲッティを食べるという実験が行われた。2本歯ではうまく絡まらず麺をとることができなかった。3本歯は2本歯よりは改善されたが、やはり麺が絡まりにくい。いっぽう、5本歯では逆に絡まる量が多くて麺を取りすぎてしまうため、頬張って食べざるをえなかった。ということで4本歯のフォークの時が絡まる量が適量であり上品に食べることができた。なお、このマナー判定シーンでは、
  • あいさつは、頭を下げずに目を見る。
  • 背もたれと背中は握り拳1つぶん離す。
  • 「いただきます」ではなく「頂戴いたします」と言う。
  • 歯に詰まった料理を舌で取らない。
といった指導が行われた。

 ここからは私の感想・考察になるが、このWeb日記で何度も指摘しているように、「なぜ○○なのか?」という謎解きでは、そのモノが登場した由来をさぐるだけでは不十分であり、なぜそのモノが今でも使われているのかという角度から原因を探る非違yがある。4本歯フォークが18世紀中頃に誕生したとしても、それが現代社会で有用でなければ廃れてしまう。4本歯フォークは、食べ物の取りやすさという点で、3本歯や5本歯より有用かつ汎用性があるゆえに使われ続けていると考えるべきであろう。




 次の4.の「110」と「119」であるが、私は「1を使えば、ダイヤル時に最も短時間でかけられるから。但し111では子どもがいたずらする恐れがあるから」と思っていた。しかし、放送では、「みんなのクセが抜けなかったから」というように説明されていた。

 放送によれば、警察の110番と消防の119番のうち先に決まったのは消防の119番であった。日本で民間電話サービスが始まったのは1890年であったが、その当時の電話は、
  • 受話器を上げてフックを押す。
  • 交換手に相手先の番号を伝える。
  • 交換手が手動で相手先に繋ぐ。
というプロセスが必要であった。しかし、回線が混雑してくると交換手になかなか繋がらないため、何度もフックをガチャガチャ押して交換手の注意をひくという癖が利用者に定着した。

 その後、1926年には交換手の要らない、自動交換方式のダイヤル式電話が登場した。そのさい消防への通報は、指を回す手間が少ない「112番」と制定された。なお「111」としなかったのは、子どもが遊びで電話をいじって消防にかかるリスクが大きかったためであった。しかし、上記のように、利用者は電話がなかなか繋がらない時にフックをガチャガチャする癖を持っており、また自動交換方式の電話機ではフックを1回ガチャとすると番号の1と同じ信号が送られるような仕組みになっていたため、ガチャガチャをフックを押してからダイヤルで2を回すと消防の「112」にかかってしまう【「2」から始まる電話番号にかけようとした人が、先にガチャガチャすると「112」に繋がってしまうという意味】という事例が頻発したという。同じような誤操作は消防の番号を「113」、「114」、...「118」としても同程度に起こる可能性があったが、当時は「9」から始まる電話番号が存在しなかったため、ガチャガチャ(「11」)の次に「9」がダイヤルされる可能性は無かった。このことから「119=消防」が制定された、と説明された。

 いっぽう警察の110番が制定されたのは1948年のことであった。戦後のドタバタで治安が悪化していたことから、警察にすぐに繋がるように番号が制定された。しかし、当初は「東京は110番」、「名古屋は118番」、「大阪・神戸・京都は1110番」というようにバラバラであったため、1954年の『新警察法』施行時に、「覚えやすい番号であること」、「かけ間違いが少ない番号であること」、「ストッパーまで近い『1』が多いこと」といった理由から、全国で110番に統一された。なお、警察の番号のほうが21年も遅れて制定されたのは、戦前の警察は市民を取り締まる威圧的な存在だったが戦後は困った市民を助ける存在に変わったことで警察への直通番号が必要になった、と説明された。

 ここからは私の感想・考察になるが、まず、フックをガチャガチャさせる回数がダイヤルの番号と同じ信号になるということは、プッシュホンが普及する前の学生時代にも聞いたことがあった。当時、電話番号の末尾の数字をダイヤルする代わりにその数字の回数だけフックを素早くガチャガチャさせると電話代がタダになるという都市伝説があり、私も実際試してみたことがあるが、実際は無料にはならなかった。ま、通話の仕組みを考えれば、無料になることはあり得ないが。

 次に、本題の「警察が110番 消防が119番という話題だが、現在、3桁で繋がる番号にどのようなものがあるのかネットで調べたところ、こちらこちらに、利用方法がリストアップされていた。
 気になる「100」、「101」、「111」、「112」などはリストに載っていないが、さらに検索したところ、
  • 「100」→「オペレータがお客様と通話先をおつなぎし、通話終了後、お客様に通話料金・通話時分を通知するサービス」というのがあったが、2014年1月30日付けで廃止が予告され、2015年7月31日をもって提供が廃止された。
  • 「101」→保留
  • 「111」→試験
  • 「112」→共同相互通話(注:現在使用されている共同相互通話のみに使用を許容。)
などとなっていた。じっさいにかけたことが無いので分からないが「保留」というところにかけると、たぶん「おかけになった電話番号は現在使われていません」というような応答が出るのではないか。また「111」の試験というのは、「着信試験(線路試験受付)」となっており、たぶん、電話を開通させる時や携帯を購入した時などにちゃんと回線が繋がっているのかどうかを確認する仕組みであるようだ。
 なお、各国・地域の緊急通報用電話番号はこちらにある。日本と同じ番号のところもあれば、「100」、「101」、「112」、「999」などが使われているところもあるようだ。