Copyright(C)長谷川芳典 |
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6月2日早朝の岡山はよく晴れ、前日に続いて木星と火星を眺めることができた。 |
【小さな話題】『三大作図問題』から超越数へ 昨日の日記の補足。 まず『三大作図問題』に関連して、 ●円と正方形にかかわる作図問題では、1882年に「有理係数の代数方程式の解として円周率が出てくることはない」ことが証明されているため、面積πの正方形を作図することはできない。 と述べた。この1882年というのは、正確には、フェルディナント・フォン・リンデマンがリンデマンの定理を発表した年であり、これにより円周率πが超越数であることも証明された。 ウィキペディアによれば、超越数というのは、「、代数的数でない複素数、すなわちどの有理係数の代数方程式の解(英語版)にもならない複素数のことである。有理数は一次方程式の解であるから、超越的な実数はすべて無理数であるが、無理数 √2 は x2 −2 = 0 の解であるから、逆は成り立たない。という。 以前、円周率πは二次方程式の解にならないという話を聞いた時、二次方程式の解は「2aぶんのマイナスb、プラスマイナスルートbの2乗マイナス4ac」となるが、私はそこから円周率は解の公式では求められないので二次方程式の解にはならないと考えていた。しかし、πが超越数であることはもちろん、円周率の無理性の証明というのも一筋縄ではいかないようである。一番シンプルで私でも分かるのは「ランベルトによる証明」というもので、わずか1〜2行で完結している。 有理数 x に対する値 y = tan x が 0 または無理数であることから、0 でない有理数 y に対する値 x = arctan y は無理数であることがわかる。よって、π = 4 arctan 1 は無理数である。もっとも、「tan x が 0 または無理数である」ということは、それより前に証明しておかなければならないので同じように手間がかかるものと思われる。 超越数や無理数をめぐる諸問題は、解法は難解だが「問題が何を意味しているのか」自体は素人でも理解できるので、私のような隠居人の老後の楽しみとしては最適かと思われる。 もう1つ、ウィキペディアには、定規とコンパスによる作図という興味深い項目があった。角の三等分問題に関しては、 不可能であることが示されているにもかかわらず、いまだに角の三等分が作図可能であることを示そうとする人々がおり、角の三等分家 (Trisector) と呼ばれている。定規やコンパス以外の道具を使用したり、定規やコンパスを本来とは異なる使い方で使用することで角の三等分を作図(あるいは工作等)することは可能であるが、当然ながら、これらは元々の「角の三等分問題」に対する解答ではない。と記されていた。但し、不可能なことに挑戦するといっても「地球は平面だ」と信じ込んでいる人々とは違い、いろいろな工夫を思いつくことは生産的であると思う。ウィキペディアでは、道具の変更と作図可能性と題して、「目盛り付き定規の使用」「折り紙を利用した作図」、「拡張された作図問題と作図可能数」などが紹介されている。特に折り紙の数学は興味深いし、実用的な技法も研究されているという。【折り紙公理も参照】 なお昨日の日記で、 ●与えられた直線のπ(パイ)倍の長さを持つ直線を作図することはできるか? と述べたが、もちろん通常のやり方では不可能。しかし、与えられた直線(正確には「線分」)の長さをコンパスで測り、用紙を丸めてその長さが直径となるような円筒を作り、それを広げて端から端まで直線を引けば、長さπの線分ができるはずだ。 |