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半田山植物園内で、ジガバチと思われるハチが獲物のクモを運んでいた。クモの種類はアシダカグモと思われる。クモを狩るハチは何種類かあるが、お尻のほうが赤いのでジガバチと推定したが、ウィキペディアには、「幼虫の食料として、ジガバチ属はアオムシを捕るが、これに対し、同科で似た生態を持つがジガバチ亜科には属さないSceliphron属はクモを捕る」と記されていた。 |
【連載】チコちゃんに叱られる!「先生をお母さんと呼ぶ理由」/言い間違えは心的辞書ではなく文脈で起こりやすい 7月15日に初回放送された表記の番組についての感想・考察。この回は、
さて、1.の「なぜ先生をお母さんと呼んじゃう?」という疑問だが、私には何のことか分からなかった。放送によると、低学年の小学生や幼稚園児ではこうした言い間違いは結構あるらしいが、私には全く心当たりがなかった。いずれにせよ、放送では、「心の辞書で隣に並んだ言葉だから」(広瀬友紀・東京大学総合文化研究科教授)と説明された。広瀬先生によれば、人は覚えた言葉を脳の中に記憶し、使えるように整理していく。これは「心の中の辞書」(「心的辞書」)と呼ばれる。心的辞書は成人で3万〜5万語に及び、人が言葉を発する時には、この心的辞書から言葉を選ぶ。そのさい、心的辞書の検索の際に取り出しミスが起こることがある。取り出しミスの原因としては、
放送では続いて、「心的辞書」の発達、語彙の爆発などが紹介された。語彙は、2歳で約300単語だったものが、3歳では約1000単語に増加する。この時期では、発音のエラーが起こりやすい。「シャボン玉」を「しゃおんまま」、「エレベーター」を「エレレーター」や「絵ベレーター」、「トウモロコシ」を「ともこち」や「とうもころし」などである。その後成長するにつれて発音エラーは減少し、「心的辞書」の語彙数は、小学生で5千〜2万語、中学生で2万〜4万語、高校生で4万〜4万5千語へと増加する。しかし、大人になっても「取り出し間違い」は起こる。放送では、ゲストの大竹まことさんが、塚原アナのことを「塚本」と言い間違えたり、岡本さんが「きよし師匠」を「巨人師匠」と言い間違えたりしたエピソードが紹介された。 なお、終わりのところで、塚原アナから、広瀬教授からの「心の辞書は、知識・経験・状況などで言葉の並び方が常に変わります。なので先生とお母さんは、誰もが隣にあるわけではありません」という説明が付け加えられた。 ここからは私の感想・考察になるが、「心の中の辞書」とか「心的辞書」というのはあくまでアナロジーであり、頭の中の記憶領域に、一定の順番で保存された語彙が並んでいることの喩えとして用いられた。しかしすぐ上に記したように、広瀬教授の追加説明では「心の辞書は、知識・経験・状況などで言葉の並び方が常に変わります。」という性質を持つことから見ても、そもそも語彙の記憶と「取り出し」の仕組みを書籍媒体の辞書に喩えることは不適切であるような気がする。 このWeb日記でも何度も取り上げているように、関係フレーム理論では、もっと文脈を重視し、言葉と言葉が動的に関連づけられることを主張している。 「先生」と「お母さん」の言い間違えは、その2つの語彙が(固定された)概念的に似ているからではなくて、例えば
●お母さん、ご飯はまだ? を「先生、ご飯はまだ?」と言い間違えることはあり得ない。夕食を食べる時の文脈は先生とは無関係であるからだ。 ということで、言葉の発達を単に、辞書の語彙数の喩えで捉えるのではなく、言葉と言葉の関係づけを重視した解説をしていただければ良かったのではないかと思われた。 なお放送の中では、発音のエラーや、発音が似た言葉の言い間違えが取り上げられていたが、このことと、似ている文脈のもとで生じる言い間違えは原因が異なっており、別に扱う必要があるように思う。 あと、今回は子どもの言い間違えの話題として扱われていたが、歳をとればとるほど言い間違いは増えていく。私自身、最近は、花の名前、昆虫の名前、大相撲の力士の四股名などをしょっちゅう取り違えている。 ※「言い間違い」と「言い間違え」のどちらを使うかという話題も以前に取り上げられたことがあったが、ここでは両方を区別なく使った。 次回に続く。 |