じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 半田山植物園のハマナス。次々と開花するため、先に咲いた花はすでに実になっている。このハマナスの花からの連想で、『知床旅情』の歌詞の意味を調べてみた。1970年代に北海道を旅行した時にしばしば耳にしたが、1番の歌詞だけしか記憶していなかった。
  1. もともとは『さらば羅臼よ』というタイトルだった。その後、森繁さんが歌詞を手直しして『オホーツクの舟歌』になり、さらに歌詞を修正して『知床旅情』となった。このことで思ったが、『知床旅情』は一番の歌詞に「はるかクナシリに」と記されていることから、羅臼側を歌ったことは間違いないのだが(ウトロ側からは国後島は見えない)、実際には「ラウス」を「知床」に読み替えてウトロ側の観光客誘致に使われていることが多い。
  2. オホーツクの舟歌』の歌詞をネットで閲覧したが、「最果ての番屋」といった言葉があることから、こちらの歌の舞台は知床半島先端を歌ったものと推測される(その場合は、オホーツク海に面しており国後島も見える)。『オホーツクの舟歌』のほうが中身が濃いように思われた。
  3. 1番目の歌詞の「白夜は明ける」だが、実際には、国後島方面は低緯度であり白夜は見られない。なおウィキペディアには、
    白夜」の読みは本来「はくや」であったが、昭和40年代に『知床旅情』(森繁久彌作詞・作曲)が流行したことによって歌詞にある「びゃくや」という読み方が世間一般に広まり、「びゃくや」の方が一般的な読み方として定着したと推測されている。なお、『知床旅情』の発表以前に「びゃくや」という読みがまったくなかったわけではなく、1958年(昭和33年)の映画広告で“白夜”に「びゃくや」という読みがふられている例が存在する。『知床旅情』は1960年(昭和35年)に森繁久彌が自ら歌って発表した曲であるが、この時には大きなヒットとはならなかった。その後、1970年(昭和45年)に加藤登紀子がリリースしてヒットした。
    【中略】
    2000年時点で、NHKは「白夜」という語について「びゃくや」を標準読みとし、場合によって「はくや」と読んでもよい、という基準を示している。1980年(昭和55年)にNHKが行った有識者アンケートにおいて、9割以上の回答者が「白夜」の読み方を「びゃくや」と答えたため、それまで「はくや」しか認めていなかったNHKは「びゃくや」を認容することとなった(その後、さらに標準読みを改めた)。NHK放送文化研究所は、「白夜」の「本来の読み方」は「はくや」であるが、「新しい読み方」である「びゃくや」が断然優勢となり「ことばとしての市民権」を得たとしている。
  4. 2番の歌詞の「ピリカが笑う」は、想像上の美しい女性のようだ。
  5. 3番の「君は出て行く 峠を越えて」の峠は、羅臼峠であるようだ。

 なお私自身は1978年に、羅臼から岩尾別まで山越えをしたことがあった。その後の別の旅行の時に、岩尾別側から羅臼岳にもう一度登り硫黄岳までの日帰り往復縦走をめざしたが、時間が足りなくなり、硫黄岳の手前で引き返した。



2022年7月18日(月)



【連載】単位円周上に無限の有理点が存在することの証明

 7月15日に続いて、tan x をめぐる隠居人的考察。

 前回の日記で、tan x が有理数である場合、tan x は必ずa/bで表せることから、直角三角形の斜辺と長さbの辺に挟まれるあらゆる角θを作図することができると記した。

 この場合、ある長さを「1」とした上で(1cmでも1インチでも1寸でもよい)、コンパスでx軸上にa個分の長さをとる。その端から垂直方向にb個分の長さをとり、もとの原点に斜線を引く。すると斜線の長さは √(a2+b2)となるが【√( )は√の中に( )という数式が含まれているという意味)、この斜辺を1/√(a2+b2)に縮めれば、半径1の円周上の座標となる。なお、以下では、第一象限上の座標についてのみ考察するが、他の象限でもプラスマイナスを一部付け加えることで同様のことが成り立つ。
 このような作図では、bを固定した上でX軸上のaの個数をいくらでも増やすことができるし、aを固定した上でbの個数をいくらでも増やすこともできる。これらはいずれも相似にはならないので(但し、aとbを両方とも増やすと相似形が多数出現する)、円周上にはx、yが共に有理数である座標は無限に存在することが証明できる。

 さて、このことに関連するが、鈴木貫太郎さんのチャンネルに、

●単位円周上には無限の有理点がある(単位円周上にはx、yが共に有理数である座標は無限に存在することを示せ

という課題が取り上げられていることに気づいた。

 鈴木さんのチャンネルでは、原始ピタゴラス数が無限に存在することを示すことでも証明できると断った上で、別の解法が紹介されていた。
  • (-1,0)を通る y=m(x+1)と単位円【 x2+y2=1】の交点をの座標を考える。
  • 交点のx座標は、x=(1-m2)/(m2+1)
  • 交点のy座標は、y=2m/(m2+1)
となる。第一象限ばかりでなく第二象限から第四象限まで含めて、y=m(x+1)は単位円と2点で交わるが、そのうち(-1,0)でないほうの交点(x,y)は有理数の座標となる。mは無限の値をとりうるので、それに対応した座標も無限に存在するという形で証明された。

 なお、鈴木貫太郎さんが言及しておられた「ピタゴラス数が無限に存在する」証明としては、例えば、

(m2-1,2m、m2+1)

という3つの組(mは正の整数)はピタゴラス数なので、mを増やせば無限に作れる。さらに、一般化して、互いに素な正の偶数mと正の奇数nを用いて、

(|m2-1|,2mn,m2+n2

は原始的ピタゴラス数であり、かつ、この式ですべてのピタゴラス数が網羅される【こちらに解説あり】。

 なお鈴木貫太郎さんの解法にあったy=m(x+1)と単位円との交点座標が、円周上のあらゆる有理数座標を網羅しているかどうかは別に証明が必要であるように思われるが、斜辺以外の長さが任意のa、bの長さとなる直角三角形は、斜辺の長さを1/√(a2+b2)に縮めることで単位円上の座標となり、その点を通るy=m(x+1)は必ず存在する(交点の座標を求められる)ことから、網羅していると言ってよいものと思われる。

 不定期ながら次回に続く。