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ウォーキングコース沿いで見かけた「ど根性彼岸花」。舗装道路の脇のわずかな隙間から花芽を出している。なお、2019年10月1日の楽天版にも同じ場所で撮影した写真あり。 |
【連載】チコちゃんに叱られる!「風が当たると涼しくなる理由」「シンデレラの靴」 少し前の9月16日に初回放送された表記の番組についての感想・考察。この回は、
まず1.の疑問であるが、これまで私は、皮膚の表面の汗が蒸発することで気化熱が奪われるために涼しく感じるのではないかと思っていたが、風に当たっても当たらなくても同じように気化しているはずなのでこれでは説明にならないと指摘された。でもって放送では「体の表面の空気を吹き飛ばすから」と説明された。ふだん私たちの体は体温で温められた1ミリほどの空気の層に包まれている。風が当たるとこの層が一気に吹き飛ばされ室温と同じになるため涼しく感じるのだという。もう1つの理由は、空気の層に含まれる水蒸気の量の影響である。空気の層は汗が蒸発した結果高湿度になっており、風が吹くと湿度が低下することで蒸発が促進され気化熱が奪われるというような話だった。 ここからは私の感想・考察になるが、「体の周りの空気の層」というのはサウナ風呂に入った時に実感できるように思う。サウナ風呂の室内は、85℃〜115℃位の高温となっており、もし同じ温度の熱湯に浸かったとすれば大やけどしてしまう。またじっさいにそのような高温になっていることは、腕時計などの金属をサウナ風呂内にうっかり持ち込むと高温になることから分かる。またサウナ風呂内でタオルで扇いで風を起こすと熱風で火傷しそうになることがあるが、これも、高温から体を守っていた空気の層が吹き飛ばされたためではないかと推察される。 次の2.については、童話作家のシャルル・ペローが当時語り継がれていた民話の「銀リスの毛皮(vair)」を同じ発音の「ガラス(verre)」と聞き間違え宮廷の人たちに伝えていたという。この「聞き間違え」の信憑性は疑わしいところもあるが、文豪オノレ・ド・バルザックがペローの聞き間違えを指摘したことで、バルザックが言うなら正しいだろうということで広まり定説になった。 ペローは、ベルサイユ宮殿の美しいガラスの装飾を目にしており、ガラスの靴にしたほうが非常にロマンチックで遙かにインパクトがあると考えてそのように創作したという指摘もある。 シンデレラの物語は、もともとは古代エジプトに由来する。紀元前5世紀の記録には『ロドビスの靴』という物語があった。そこでは、水浴びをするために脱いだ靴の片方を鷲が持ち去って王様の膝の上に落としたところ、王様がその美しい靴を気に入って持ち主を探したというような話。 その後、ヨーロッパに伝わった中で最も古い物語はイタリアの『灰かぶり猫』。そこでは木の靴となっていた。またドイツ版では金の靴というようにそれぞれの国・地域により異なっていた。 ちなみに、坪内逍遥が翻訳した日本版シンデレラは『おしん物語』は1900年『国語読本 高等小学校用一巻』に採用されている。その翻案では、妖精ではなく弁天様が登場し、ガラスの靴の代わりに絵柄の入った扇という設定になっていたという。この物語は朝ドラ『おしん』で有名な泉ピン子さんが一人芝居で演じておられた。放送でもひと言述べられていたが、朝ドラの主人公おしんは、小林綾子、田中裕子、乙羽信子によって演じられており、泉ピン子さんが演じたのは、おしんの母親の谷村ふじ(たにむら ふじ)であったのだが、「おしんと言えば泉ピン子」という強烈な印象が今でも残っている。 なおシンデレラの原作は男尊女卑の発想や、容貌の美しさだけで王様に気に入られたといった展開が含まれていて現代の男女観にそぐわない面があることから、昨今の映画などでは、シンデレラを、より強く主体的に行動する女性として描く傾向が見られるように思われる。 次回に続く。 |