じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 10月8日の夕刻はよく晴れ、備前富士の真上に月齢12.5の月(十三夜、後の月)が見えていた【写真上】。また、夜中には雲の合間から月と木星が接近している様子を眺めることができた【写真下】。最接近は10月9日の3時12分で、2°04′。なお、月と木星は、月の公転によって毎月接近して見えるが、10月〜12月は宵の空で見えやすい位置にあり、毎回ほぼ2°前後の接近となる。

2022年10月9日(日)



【連載】チコちゃんに叱られる!「みそ汁のモヤモヤと鰯雲」「オセロの起源と白黒の理由」

 10月8日【岡山地方は10月7日は別番組】に初回放送された表記の番組についての感想・考察。この回は、
  1. みそ汁はなぜモヤモヤしている?
  2. なぜオセロは白と黒?
  3. 自分、東京に魂売ったんとちゃうかクイズ【大阪と東京で呼び方が違うモノ】
  4. なぜ外国語をカタカナで書く?
  5. 【ひだまりの縁側で…】秋休みは何で無いの?
という5つの話題が取り上げられた。本日はこのうちの1.と2.について考察する。

 まず1.の味噌汁のモヤモヤは、放送では「おわんの中でいわし雲が発生しているから」と説明された。おわんの中の味噌の粒子は、おわんの底では熱いため、相対的に軽くなって上に上がる。いっぽう味噌汁の表面は空気に触れて冷やされるため、相対的に重くなって下に下がる。これにより対流が発生するが、これはいわし雲を作るベナール対流の仕組みに似ているということであった。
 いわし雲(巻積雲)は空気の温度差が激しくなる上空7000m付近に発生する。この場所では温かい空気と冷たい空気がぐるぐると回転するベナール対流が発生し、もともとの大きな雲がいくつもの小さな雲に分かれていわし雲になるという。
 なお、味噌汁のモヤモヤの動きや形は、味噌の種類、濃さ、作り方などによっていろいろに変化する。放送では「みそ-1選手権」と称して、仙台みそ、八丁みそ、信州みそ、関西白味噌を比較したところ、関西白みそが最もいわし雲に似ていると判定された。




 2.のオセロについてはこのWeb日記でも何度か取り上げたことがあった。白黒になったのは「もともと碁石だったから」と説明された。放送によれば、発祥の経緯は以下の通り。
  • オセロを開発したのは長谷川五郎(1932-2016)。なおウィキペディアによれば、長谷川五郎はペンネームであり、オセロの商標権は本名の長谷川敏で取得しているという。
  • 終戦直後、茨城・水戸市で育った長谷川五郎は、中学生の時、碁石を使って囲碁よりもシンプルに遊べる方法として、オセロのルールを考案した。しかし碁石ではいちいち白黒の石を置き換える手間がかかるので、代わりに白黒に塗って丸く切り抜いたボール紙を使用し、学校じゅうの話題になった。
  • その後、栄養失調で倒れ、6年間の療養生活を余儀なくされた。
  • 療養後は、茨城大学に入学。主席で卒業して大手製薬会社へ入社、妻・秀子と結婚、家族も増えた。仕事は全力でやっていたはそれ以外にも司法試験を受け、弁護士を目指していたが、車を運転中に横から車をぶつけられ、全身打撲。命が助かったのは奇蹟だと言われたが、頭痛などの後遺症により弁護士への道を諦める。
  • ある日、製薬会社の営業で病院を訪れた時に、患者さんから何か暇つぶしのゲームはないかと尋ねられ、中学時代に発明したオセロを復活させる。オセロの石として牛乳ビンの蓋に黒い紙を貼った。そのゲームを病院で患者やスタッフに喜ばれ、100台以上を配った。
  • 病院の先生からの勧めもあり、長谷川は自ら大手おもちゃメーカーの佃光雄社長に売り込んだ。佃が売れる確証を求めたところ、長谷川は帝国ホテルを全財産を使い切って自腹で借りて第1回全日本オセロ選手権を開催し、大反響となった。
  • 1974年4月25日にオセロの商品化が決定し、大ヒットとなった。なお以上の経緯により、オセロの石の大きさは牛乳瓶の葢と同じ34.5ミリで統一されている。また「オセロ」の名前は、長谷川五郎の父でイギリス文学者の長谷川四郎さんの発案によるという。
 放送内容は以上の通りであったが、ウィキペディアでは、開発の経緯についての本人の説明は二転三転しており、真相は不明であるとされている。
当初はイギリスのリバーシというゲームのデザインを改良したものと説明しており、1971年に出願した実用新案登録の書類では、半世紀にわたって行われている源平碁の石、盤、計算表を改良したものと説明していたが、後に自身が学生時代に独自に考案したゲームであり、リバーシと似ているのは偶然と主張するようになった。
近年の主張によれば、学校の短い休み時間でも楽しめるゲームが欲しいと思い、碁石を用いて相手の石をはさむと取れるというルールの「挟み碁」を考案したことに始まる。その後、ルールを変え、石を取り除くのではなく色を反転させるようにし、牛乳瓶のふたを用いて裏表を反転させるように改良して現在の形にたどりついた、と言う。


 ここからは私の感想・考察になるが、まず、よく知られているように、商品としてのオセロは、メガハウス(ツクダ→ツクダオリジナル→パルボックス→メガハウス)の登録商標であるため、他社からはリバーシとしてほぼ同様のゲームが発売されている。
 オセロは、囲碁・将棋・チェスなどと同様に二人零和有限確定完全情報ゲームに分類されており、8×8=64のマス目のうち最初に置かれた4個以外のマス目に石を並べていくことから、最大でも60!通り以外のパターンはあり得ない。しかも石が置けるマス目は相手の石をひっくり返すことのできる場所に限られているので、実際のパターンは遙かに少ない。であるならすでにAIで必勝法もしくは「どうやっても引き分け」となるような手順が解明されていてもおかしくないと思うのだが、ウィキペディアによれば2022年現在も完全解析はなされていないという。ウィキペディアによれば、
部分的には、最善進行を前提として以下の事実が判明している。
  • オセロのある局面が黒番必勝・白番必勝・引き分けのいずれであるかを判定する問題は、PSPACE完全である。
  • 盤面を4×4に縮小したオセロは、3対13で白番(後手)の必勝となる。
  • 盤面を6×6に縮小したオセロは、16対20で白番(後手)の必勝となる。
  • 通常通りの8×8のオセロでは、一部の定石で引き分けになることが判明している。
これらの事実に基づき、8×8のオセロは最善進行で引き分けになる可能性が高いと予想されている。オセロ日本代表選手の佐谷哲は、2019年に「『オセロは最善進行で引き分け』という説が今後覆ることはほぼ無いだろう」と述べている。
 ちなみに私自身は、認知症予防を兼ねて毎日、ネット上で提供されている「リバーシ」を数回程度遊んでいる。対面型のオセロと異なり、常に白番(後手)。また100秒の時間制限が設けられており、
  • 相手にパスさせると+1000点
  • 全部白で勝つと+10000点
  • 白石1個につき200点
  • 残り時間1秒につき50点
となっていて得点順にその日の順位が表示される。私の場合、たいがいは12000点〜2000点前後で順位は200〜400位前後となっているのだが、スゴイと思うのは上位10位あたりまでの人が40000点以上を取っていることだ。あらかじめパーフェクトで勝てるような手順を決めておいてロボット操作で高速入力させない限りはこんな高得点は得られないのではないかと思うのだが、不思議である。

 次回に続く。