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毎年この時期に見られる「京山皆既日食現象」。旧・京山タワーと夕日がピッタリ重なる現象であり12月5日頃から12月10日頃まで見られるが、今年は日没時に雲がかかることが多く、眺めることができなかった。12月9日の夕刻も西の空には雲がかかっていたが、旧・京山タワーの周りだけ奇跡的に雲が切れて撮影することができた。
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【連載】サイエンスZERO「単細胞の“知性”に迫る 謎多き粘菌の世界」(2)知性とは?/電子アメーバーの応用 昨日に続いて、11月13日に初回放送された、NHK「サイエンスZERO: ●単細胞の“知性”に迫る 謎多き粘菌の世界 のメモと感想。 放送では、粘菌の振る舞いの数式化に続いて、「ジオラマ行動力学」を打ち立てようとする新分野の研究が紹介された。中垣俊之先生(北海道大学)によれば、 現実では非常に複雑な野外環境があるが、その複雑さをちょっと洗練した形で実験室で再現すると、その複雑さに対する原生生物の行動が初めて発揮される。それをちゃんと評価して、数式で表してアルゴリズムとして見る。本当に知的と呼ぶべきかどうかは、まだ少しクエスチョンがあるが、ひとまず「原生的な知能」と名づけてちゃんとこれから調べていこう。ということであった。 「粘菌が“知的”というのはどういうことか?」という問いに対しては中垣先生は 複雑な野外環境において上手に行動できるということを『知性の原型』と考えている。単細胞の生き方から人間みたいなものに繋がってきている。ずいぶんと違うものが発達してできてきたことに驚くばかりだが、その一方であらゆる生き物が同じ細胞という共通の構成要素でできている。そういう意味では、情報処理のやり方の基本的なところは、ある種、共通したものがあるかもしれない。というように、期待を述べておられた。 ここでいったん感想・考察を述べさせていただくが、上掲のお話を理解するためには、そもそも「知性とは何か?」についてしっかり定義する必要があるように思われる。もしかすると、「知性」とか「知的」のはあくまで記述レベルの分類概念であって、「○○は知的だが、××は知的ではない」というような分類はできるが、根源に何かの共通要素があってそこから複雑・発展化していくようなものでは必ずしもない、という可能性もあるように思う。 例えば、ある種の植物が、花にやってきた昆虫を少しだけ閉じ込めて花粉をいっぱいこすりつけてから解放するという方略は、擬人的に捕らえれば植物が編み出した巧妙な罠であり「知的」であると呼べないこともないが、単に進化の過程で、そのような仕掛けを巧妙化した種類がより多く生き残り繁殖したと考えるならば、別段「知性」を持ち込む必要はない。また、昨日も例に挙げたが、砂漠地帯に降った大雨が流れ出して川を作る過程も、別段、水に知性があるから1本の川になるわけではない。 あと、上記の「あらゆる生き物が同じ細胞という共通の構成要素でできている」という点は確かに重要だが、同時に、すべての生物は、地球環境という同一の世界に棲息しているという点も忘れてはならない。そのような環境では、同じ物理法則や化学変化の法則に従わざるを得ないため、適応の方略は当然、似たものになってくる。解剖学的には構成要素の異なる生き物がいても、行動レベルでは類似したものにならざるを得ないのかもしれない。 元の内容に戻るが、放送では続いて「驚き! 粘菌がコンピュータに!?」という話題が取り上げられた。粘菌には、エサを求めてさまざまな方向にランダムに足を伸ばし続けるという性質がある。また光を嫌うという性質があり、光を当てると足を縮めてしまう。コンピュータの中に粘菌を入れた新型のコンピュータは、「巡回セールスマン問題」や運送サービスの効率化に応用できる可能性がある。従来のコンピュータでは、「巡回セールスマン問題」は、訪れる都市の数が増えると組合せが爆発的に増加するため最適解を見つけるのに時間がかかる。これに対して、粘菌を情報処理に使えば「そこそこ良い答え」を導き出すことができる。粘菌が複数の足を同時に伸ばしたり、伸ばす足の組合せを変えたりすることで、【いろいろな都市を訪れる時の】さまざまな可能性を素早く試す計算を実現することができる、ということであった。もっとも、生きた粘菌では動きが遅いだめ計算に時間がかかってしまう。そこで、実際には生物粘菌の特徴を取り込んだ「電子アメーバー」が登場しつつある。そこでは、「ゆらぎ」という、生き物の持つ一見無駄にも見える特徴を電子回路に置き換えて実現。これにより倉庫や工場における自動化、ロボット搬送の最適化をめざしているという。さらにこの技術をスマホに組み込んで、緊急時の避難経路の探索に役立てようという研究も行われている。 次回に続く。 |