じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 半田山植物園の柿の木。毎年この時期におびただしい数の実をつけている。今のところ、これらを食べに来る野鳥は少ない。渋柿だからか、実が硬くて歯が立たないせいなのかは不明。

2022年12月12日(月)



【連載】チコちゃんに叱られる!「なぜ大人は足を組む?」と足のしびれ

 12月9日に初回放送された表記の番組についての感想・考察。この回は、
  1. なぜ大人は足を組む?
  2. 食べ物に熱を加えると茶色くなるのはなぜ?
  3. 抜き打ちドリル 正しく言いましょう【略語や記号の正式名称についてのクイズ】
  4. ダーツの「まと」ってなに?
という4つの話題が取り上げられた。本日はこのうちの1.について考察する。

 まず1.の疑問だが、私には当初、「足を組む」という意味が分からなかった。座敷で座る時の正座や胡座のことかと思ったが、そうではなくて、椅子に座った時に、片方の足の腿の上にもう一方の足を乗せるという意味であった。もっとも私自身は、そのようなポーズをとることが滅多にない。あるとすれば国際線に長時間搭乗した場合だが、その際には、他にもいろいろなポーズをとってエコノミー症候群を防ぐようにしており、かならずしも、いつの間にか足を組んでいたというわけではない。

 放送では、1.の正解は「筋肉がくっついちゃっているから(股関節の筋肉が癒着しているから)」と説明された。股関節には中臀筋(ちゅうでんきん)という三角形の筋肉がついている。筋肉にはファシア(fascia)という網目の構造で包まれている。鶏肉の胸肉の皮をめくろうとすると、皮と筋肉の間に白っぽい半透明の薄皮みたいなものが見えてくるがこれがファシア。ファシアは伸びたり縮んだりして筋肉の複雑な動きをスムーズにする働きをしている。しかし、横向きで寝たりデスクワークで座りっぱなしで同じ姿勢を続けていると、中臀筋のファシアが固まって筋肉同士がくっついてしまうことがある。そうすると、その周りのファシアが引っ張られ、一箇所だけ緊張した状態になる。その不快感をなくすため足を組んで緊張する部分を変えている、というように説明された。要するに、新たな刺激を生じさせてもともとの不快感を忘れるというのが足を組むのだという。

 ではなぜ子どもは足を組まないのか? これについては、子どもは筋肉が柔らかくて同じ姿勢を続けないため、筋肉がくっつく可能性が低いと説明された。
 足を組む癖を無くすために自分でできるベストな方法はストレッチであるという。このほか、事前のマッサージで足を組む頻度や時間を減らすこともできるという。

 足を組む人がいるのは、足のしびれを避けるためではないかという考えも浮かんだが、正座をしている時に生じるしびれは、主として血行が悪くなるためのようだ。こちらの情報を要約【一部改変】すると、
  1. ヒザ下の部位で血管が圧迫され血液の流れが悪くなる。
  2. これにより、末梢神経に必要な酸素が不足する。
  3. さらに、皮膚に近い末梢神経は、体の重みによって直接圧迫を受けてる。
  4. こんな状態を続けていると、知覚を伝える末梢神経の機能が低下し、そこに異常電流が流れ始める。この電流こそがしびれの原因。
ということであった。この場合は「ファシア」はあまり関係なさそうに思われる。なお、お坊さん、落語家、将棋棋士などが長時間正座していてもしびれないのは、正座してもちゃんと血が流れるような別の血管を造っているからという説明も見かけたが、科学的な証拠が無いとにわかには信じられない。

 なお、上記の「ファシアの固まり」や「足のしびれ」とは別に、筋肉痛があるが、これについては2021年10月29日の放送ですでに取り上げられており、「1日かけて移動した物質が痛みを感じさせるから」と説明されている。

 放送を視た限りでは、ファシアが固まるというのはどちらかと言えば、長時間あるいは数日以上にわたって同じ姿勢を続けた場合に生じる現象であり、いっぽう、「足のしびれ」は数十分程度といった短時間で生じる現象であるように思う。なので、数時間程度椅子に座っている場合は、まだまだファシアは固まっておらず、足を組むのは血流をよくして「しびれ」の発生を避けるためではないかというようにも思われる。私自身が国際線搭乗の際に足を組むのも「しびれ」を避けるためではないかと思えた。

 なお今回の放送の解説者の方は「大阪産業大学非常勤講師」という肩書きで紹介されていたが、「非常勤講師」というのは通常、勤務先の職員には含まれておらず、現職を表す職種としては不適切であるように思う。こちらを拝見したところ、理学療法士、学術博士を取得しておられ、そのいっぽうで企業の代表取締役をつとめておられるようなので、「○○大学非常勤講師」ではなく、「理学療法士」あるいは「△△会社代表取締役」という肩書きで紹介するべきであろう。

 次回に続く。