じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 半田山植物園で見かけたヘクソカズラの実。美しい色・形をしているが、迷惑雑草のチャンピオンでもある。
 なおこの金網にはもともとウマノスズクサが育てられていたが、何らかの原因で根元のあたりで蔓が切られてしまい、その後消滅した。 それとともに、毎年繁殖していたジャコウアゲハの幼虫も姿を消してしまった。

2022年12月18日(日)



【連載】チコちゃんに叱られる!「お腹が鳴る理由」「リボンの由来」

 12月16日に初回放送された表記の番組についての感想・考察。この回は、
  1. おなかがすくと鳴るあの音ってなに?
  2. リボンってなに?
  3. チコっとやれば誰でもできるSDGsクイズ「温水蛇口の自粛」「宅配の再配達の解消」、「温水洗浄便座のフタ」
  4. なぜ赤いのに金魚という?
という4つの話題が取り上げられた。本日はこのうちの1.と2.について考察する。

 まず1.のお腹が鳴る音だが、私自身は、胃や腸が空っぽになった時に接続する別の消化器とのあいだで気圧差が生じて空気が移動する音だと思っていた。いっぽう、放送で正解とされたのは、「次の食事のためにおなかを空っぽにする音」であり「腹鳴」と呼ばれるという【おなかがすくと小腸からモチリンというホルモンの一種が分泌され、次の食べ物が来る前に掃除せよという信号が胃に送られる】。
 『大辞泉』によれば「腹鳴」は「腹部で聞こえる雑音。腸の内容物とガスや液体の移動によって発する。」、また『日本国語大辞典 精選版』では「腹部が鳴る音。腸内のガス・液体の混在する内容物が腸蠕動(ぜんどう)の亢進につれ、移動するときに生じる。腸カタルのときに多い。〔医案類語(1774)〕」と説明されていた。「気圧差により空気が自動的に移動する」というのが私の推測であったが、実際に移動するのは腸内のガス・液体の混在する内容物であり、またその移動は気圧差ではなく腸の蠕動によって生じるらしいことが分かった。以上の説明はあくまで「お腹がどのようなメカニズムで鳴るのか?」という「How?」に関する説明であったが、放送では「なぜ鳴るのか(Why?)」の答えを求めていた。こうしたWhy?への回答としては「お腹が鳴る理由(目的)」を示すと納得しやすいところがあり、今回も「次の食事のためにお腹を空っぽにする」というように説明されていた。もっとも生理学的なメカニズムは誰かが作った目的、すなわち「○○のため」を達成するための手段ではない。より正確には、「腸の蠕動によって内容物を移動させることで結果的に次の食事が消化されやすくなる。またそのさい結果的に音が出る(お腹が鳴る)」と説明すべきであろう。

 放送では続いて最先端のマイクを使って各種生物の消化活動の音を聞く試みが紹介された。
  • ポニー:MO-64B(通称「昆虫マイク」)を使用。このマイクはシャボン玉の割れる音や蟻の歩く音も集音できる。これにより集音に成功。
  • ウサギ:同じく「昆虫マイク」を使うことで集音に成功。
  • ライオン:CS-ULX(前方の狙った音だけをクリアに収録できる)というマイクを使ったが、ライオンが興奮して吠えまくったため失敗。
  • 芋虫(シマベニチョウの幼虫):無響室で「昆虫マイク」を使用。葉っぱを食べる音と、フンをする音は聞こえたが、腸が動く音自体は収録失敗。
 なお、解説出演の坂井貴文先生(埼玉大学学長)によれば、お腹の音はびっくりすれば鳴らなくなるという。お腹の動きは副交感神経の働きによるものなので、びっくりすれば交感神経が優位になり動きが止まる。しゃっくりが止まるのも同じ原理か。




 次の2.のリボンの由来については、放送では「女性にモテたい男性のアイテム」が正解とされた。内村理奈先生(日本女子大学)によれば、リボンには、
  • かつてはむしろ男性のほうが好んで身につけていた。
  • もともとのリボンは紐状のもので当時は袖など衣服の境目につけて結んでいた。
  • 中世ヨーロッパでは馬上やり試合に参加する男性が「あなたのために戦う」という意味で妻や恋人からもらった衣服の一部やリボンを武器につけていた。
  • 馬上やり試合は命の危険から中止になりかわりに17世紀から自分の好きな女性が好む色のリボンを男性が身につけるようになった。【←推測?】
  • 17世紀後半にリボンは大流行しフランス国王ルイ14世も全身にリボンをつけた。その後ますますエスカレートして、フランス中心にド派手なリボンがつけられるようになった。
  • 18世紀末にフランス革命が起きると貴族階級は崩壊しリボンで派手に着飾る男性貴族の服装は終りを迎え、一般市民のシンプルな服装が人気になり内面で勝負する美学=ダンディが生まれリボンは消えていった。
  • その後、自分の財力や地位など見せびらかすために妻や子どもを着飾るようになりリボンは女性のファッションアイテムになった。
という歴史があるという。

 ここからは私の感想・考察になるが、ウィキペディアの内容は上記の放送内容とはやや異なっており、
  • 装飾に用いられるリボンの起源は古代ギリシアといわれており、女性は髪を束ねるために用い、男性は鉢巻のように用いていた。
  • 中世ヨーロッパでは男性はかつらの留め帯として利用し、女性は衣服の襟元などの装飾に用いるようになった。
と記されていた。ウィキペディアの説明から推測するならば、リボンは、女性の髪を束ねるアイテムとして、さらには衣服の襟元の装飾のために独自に進化しており、必ずしも最初は男性がつけていたということにはならないように思われた。また、髪につけるリボンと、衣服につけるリボンは用途が異なっており、別々に進化した可能性があるように思う。さらに、ラッピング、テープカット、トロフィーなどにも使われている。

 「リボン」という言葉で思い浮かぶのは「イエローリボンであり、『黄色いリボン』の映画などでもお馴染み。また日本映画では『幸福の黄色いハンカチ』があるが、そこで使われている「黄色いハンカチ」というのは実際に使うハンカチではなくリボンとして機能しているように思われた。

 今回の放送ではもっぱら装飾のアイテムとしてのリボンだけが取り上げられていたが、つけられる部位、色、形などによってより深い意味があることにも注意を向ける必要がある。

 次回に続く。