じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 スマホで自撮りする際の左右の映り方。液晶画面では、鏡に映した時と同じように左右反転で表示されるが【写真左】、実際に撮影された写真は右側のようになる。なので液晶画面では自分の顔が気に入った表情に見えていたとしても、そっくりそのままの写真にはならない【←但しスマホの設定を変えれば別】。↓の記事参照。


2023年2月19日(日)



【連載】チコちゃんに叱られる! 鏡に映る自分の顔とスマホの自撮りの際の左右反転/単純接触効果

 2月17日(金)に初回放送【岡山では別番組放送のため初回は翌日土曜日】された表記の番組についての感想・考察。この日は、
  1. 写真にうつった自分の顔が気にくわないのはなぜ?
  2. ブレイクダンスの「ブレイク」ってなに?
  3. 家紋はなんのためにある?

という3つの話題が取り上げられた。本日はこのうちの1.について考察する。

 さて、「自分の顔」の話題であるが、放送では「それが、あなたの本当の顔だから」と説明された。宮本聡介先生(明治学院大学)によれば、
  1. 「本当の顔」というのは人から見た時のそのままの顔であり、自分がイメージしている顔とは異なる。
  2. ふだん私たちは、自分の顔を鏡で見ていることが多いので、自分でイメージしている顔は鏡に映った顔になる。
  3. 鏡に映った顔は左右が反転している。顔の右半分と左半分は私たちが思っている以上に違う。個人差はあるが、人間の顔は、目や眉の形、ついている場所の違い、輪郭の歪みなどがあるので、左右が入れ替わっただけで違った印象を与える。
  4. 毎日のように見ている「鏡に映った顔」は、単純接触効果により親しみを持っている。
  5. 単純接触効果とは、同じものを何度も見ることで好きになること。繰り返し見ると、見たものがわかるスピードが速くなることで、脳は見てすぐに分かることを好きになったと勘違いしてしまう。
  6. 写真に写った顔は【単純接触効果が生じていないため】親しみを感じない。
  7. 単純接触効果は、「同じ広告をあちこちに出すことで購入を促す」、「営業マンが何度も訪ねることで好感を持ってもらうようになる」などビジネスでも活かされている。
  8. 免許証の写真が気にくわないと感じるのは、特殊な場所で撮影しているため、表情を出しづらい、かたい表情になってしまうという可能性もある。楽しいことを考えながら撮れば気に入った写真になるかもしれない。
とのことであった【←一部省略改変】。
 ここからは私の感想・考察になるが、単純接触効果については私も修論研究などで関わったことがあった。私の場合は味覚の好みや、味覚嫌悪の条件づけに及ぼす効果などである。簡単に言えば、何度も経験したことのある味は新奇な味よりも好まれること、また、何度も経験した味ではそれを摂取した後に中毒症状が起こってもその味は嫌いになりにくいというような内容であった。
 また私のゼミの卒論研究のなかで、単純接触の回数が多いほど、ゆるキャラへの親しみの度合いが増えることを実験的に確認したものがあった。じっさい、せんとくんにように、ゆるキャラの中には気色悪い印象を与えるものもあるが、何度も接しているうちに親近感が増すものも多い。
 もっとも、1枚1枚の写真は新奇であったとしても、何枚もの写真を長年にわたって見続けていればそれなりの単純接触効果が生じるはずであり、少なくとも新奇性は失われているはずだ。なので、「鏡に映った自分」と「写真に写った自分」への好みの差を単純接触の回数の差として説明できるかどうかは疑問である。ま、私なんぞは、ヒゲを剃る時にヒゲの生えている部分を鏡に映すことはあるが顔全体に視線を向けることはないし、海外旅行先で自分の写真を撮ることも滅多に無いので、そもそも、気にくわないとか気に入るとかいった感情が生じることはない。

 あと、単純接触の回数に応じて好感度が増すということは必ずしも言えない場合がある。例えば、【私がかなり若い頃の話だが】初対面の異性にはそれなりの魅力を感じることがあるが、二度目、三度目というように何度か顔を合わせるうちに、周囲の他の異性とあまり変わらないレベルまで魅力が低下することがあるように思う。もちろん、これは、視覚刺激としての単純接触の回数とは別に、何度も何度も対面している中で相手の欠点がいろいろと見えてきて、トータルでの好感度が剥げ落ちてくるためとも考えられるが。




 ところで、最近では、鏡の代わりにスマホの自撮りで自分の顔を見る人が増えているようだ。少し前に空港で搭乗待ちをしている時にも、スマホで自分の顔を映しながらお化粧をしている女性をみかけた。
 これまで「自撮り」というのは、カメラから見た風景をそのまま撮影するので、鏡で映した顔とは左右が反転、つまり他の人から見ている自分の顔がそのまま写るものだと思っていた。この考え方は正しいのだが、問題はスマホ画面上に映っている自分の顔である。画面上では鏡と同じように左右反転になっていたのである。
 実際、自分の顎の下に本を置いて自撮りをしてみると、スマホ画面上では文字が左右逆になっていることが分かる。しかし撮った写真では文字はちゃんとした向きに戻っていた。
 あくまで私の推測であるが、スマホのカメラレンズを私に向けるということは、私と反対のほうから私の顔を写すということを意味している。なので、スマホの裏側にもう1枚の液晶画面があれば、左右は正しく映っているはずだ。しかし自撮りでは、液晶画面は180度反転して私のほうを向いているので、左右の向きも映っている文字も反転してしまう。
 スマホによっては左右の向きを、写真に写した場合の向きと同じように反転させる機能があるらしい。とはいえ、車のバックミラーと同様で、スマホ画面を見ながらお化粧をしたりヒゲを剃ったりする時には、自分の手の左右の動きが画面上の動きと同じ方向になっていたほうが操作しやすい。【←パソコン接続のWebカメラでは、ディスプレイ上にカメラで映した通りの画像が表示されるが、向きを変えようとするときにしばしば反対に動かしたりしてしまう】
 いずれにせよ、自撮り場面では、液晶画面に映っている顔と、実際に撮った写真の顔は左右反転になっている。そのため、液晶画面では気に入った顔になっていても、写真では気に入らない顔のように見えるということは大いにありうることかと思う。

 次回に続く。