じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 この時期、ウォーキングコース沿いの用水路のいたるところで見られるタガラシ。田んぼを枯らすほどに繁殖するという意味の「田枯らし」が語源かと思っていたが、噛むと辛味があるという意味での「田辛子」が語源という説もあるらしい。もっとも、「プロトアネモニンという毒をもち、誤食すると消化器官がただれたり、触ると皮膚がかぶれたりする。」ということなので、「田辛子」説が正しかったとしても辛子の代用にはならない。

2023年4月6日(木)



【連載】AIの進歩で仕事を奪われる人と、新たなビジネスチャンス(4)最新の記事、農業

 昨日に続いて、AIの進歩と人間の仕事について考察する。

 さて、最近はAIの話題が毎日のように取り上げられている。本日の朝耳にした記事を抜粋すると、
  1. メタのボズワースCTO(最高技術責任者)は、テレビ東京の単独インタビューの中で、メタは文章・画像などを自動的に作る生成AIを年内に公開するという方針を明らかにした。こうしたAIはインスタグラムなどの画像フィルターやメタが社運をかけているメタバースなどに活用される。ボズワースCTOは、(メタバースの)3D空間を作るにはCGやプログラミングの知識が大量に必要であるが、AIがあればつくりたい世界を伝えるだけでその世界を(自動で)生成できる、と語った。
  2. こちらの方のツイッターからの二次情報であるが、生成AIはマクロ経済へ莫大なインパクトを及ぼし、
    • 仕事の2/3は、AIの自動化の波にさらされている
    • 仕事の1/4が、生成型AIで置き換えられる可能性
    • 推定すると約3億人の仕事が自動化されると予想
  3. 【4月6日朝のモーサテ『日経]朝特急プラス】
    • ChatGPT-4は、従来の文字の質問に対応するだけでなく、文字・画像を使った質問にも対応。
    • 生産性を高めると期待される反面、「有害な情報の拡散」、「機密の漏えい」、「雇用に悪影響」といったリスクが潜んでいる。
    • オープンAIは、GPT-4の安全対策として「不適切な質問の回答を回避し、事実に基づいた反応をする能力が向上」、「さまざまなリスクを理解するため各分野の専門家50人以上と協力」と説明している。
    • 生成AIの潜在市場は大きく、2027年には1210億ドル(約16兆円)になると予測されている。
    • 2010年代以降、AIが急ピッチで進化する中、利便性や効率性が飛躍的に向上するというポジティブな面ばかりでなく、基本的人権や民主主義などに悪影響を及ぼすといったネガティブな受け止め方が鮮明になってきた。
    • 生成AI開発側には、技術力の高さだけではなく、テクノロジー哲学や倫理観を持ち、社会が納得できるようなテクノロジー利用の環境やルールの整備が求められる。

 上掲の3番目の解説では「多くの可能性をひめた生成AIですから、クリアすべき問題をきちんとクリアして最大限価値を引き出す、そのための知恵を絞る、そのことが今必要ではないかと思います。」とまとめられていた。この結語は、言葉としては妥当な内容になっているのだが、そもそも、誰が知恵を絞るのか【←その際にもAIに頼るのか】、100%の人々が納得できるような「テクノロジー哲学や倫理観」があるのか? 欧米のキリスト教的な倫理観、イスラム諸国の倫理観、あるいは仏教や道教や儒教の倫理観のあいだで対立が起こった時に誰が解決してくれるのか、といった問題が残されているように思われる。




 ところで、上掲の3番目の解説に続いて、モーサテでは『大浜見聞録』として、『若者が活躍!農業ベンチャー』という話題を取り上げていた。農林水産省の資料によれば、日本の農業の担い手は2022年には122万人であるが、2040年には42万人まで減少すると予想されているという。これは日本の食料自給にも重大なリスクをもたらす。そんななかで、農業の経験が無かった若者を雇用するベンチャー企業が紹介された。この企業では、スマホを通じて若者1人1人にその日の作業内容が伝えられる。作業の途中でトラクターが故障するといったトラブルが発生した時もすぐに連絡をとり対応が指示されるので、農業未経験者であってもすぐに慣れていくことができるようであった。
 今回の連載との関連で言えば、農業はどんなにAI化、機械化が進んだとしても、人間がかかわらなければ成り立たない作業は残っていると思われる。上に述べたトラクターの場合も、完全に自動化できたとしても故障が起こった時に自分では修理できない。また、いくらAIの助言を受けるといっても、どういう作物を作るか、どの市場に出すかといった判断は最終的には人間によって行われる。スキナーが指摘していたように、農業における生きがいは、農作業という行動が収穫という結果によって強化されることが必要である。AIがリーダーとなり人間は機械化農業の部品の一部として奴隷化されてしまうというような事態に陥らない限りは、AIによって農業者が職を奪われることはないものと思う。それが危惧されるのであれば、山奥でのポツンと一軒家で自給自足型の農業に励むほかはないが。

 次回に続く。