じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



04月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る



クリックで全体表示。

 4月29日の北九州は、朝5時台から22時頃まで雨が降り続き、積算降水量は43.5ミリとなった。写真は、帰省先の近くで見つけたヒメオドリコソウ。



2023年4月30日(日)



【連載】チコちゃんに叱られる!「こどもの日の柏餅」「2種類の洗濯機」「脳のデフォルトモードネットワーク」

 4月29日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。この日は、
  1. なぜこどもの日にかしわ餅を食べる?
  2. なぜタテ型とドラム型の洗濯機がある?
  3. なぜ枕が変わると眠れない?

という3つの話題が取り上げられた。

 まず1.の柏餅については、放送ではお母さんの健康を守るため」が正解であるとされた。
 放送によれば、柏餅を食べる習慣は、葉っぱで巻く食文化と、こどもの日の歴史が組み合わさったものである。
  • 前者は、弥生時代から古墳時代、田んぼには男の神様がいると信じられており、その男の神様の機嫌を損ねないために、田植えは女性が行うものとされていた。その際、葉っぱには虫が寄りつかないというような殺菌作用があることから、女性たちは屋外では葉っぱで巻いた食べ物を食べており、その1つとしてかしわで巻いたおこわが使われていた。
  • 後者は、奈良時代に中国から伝来した端午の節句に由来している。端午の節句は季節の変わり目に菖蒲の葉を軒先に飾ったり酒に入れて飲んだりして邪気を払う厄除け行事であったが、戦国時代に入ると菖蒲が“尚武”や“勝負”に響きが似ていることから男子の出生・成長を祝う行事に変化し、江戸時代になるとこいのぼりや武者人形で祝い始めた。もともとは、健康な男の子を生むためにお母さんの健康を願うものであり、かしわの葉が取り入れられたのは、柏は新芽が出るまで古い葉が落ちないことから子どもが産まれるまで親は死なないというゲン担ぎに由来。その後、1948年に国会で5月5日がこどもの日に決まった。こどもの日は「子どもの幸福をはかるとともに母に感謝する」と明記されている。
     放送ではさらに、こどもの日グルメとして、長崎の鯉菓子と、名古屋は黄いないおこわ、大分は鯛麺が紹介された。

     ここからは私の感想・考察になるが、こどもの日が法律上は「母に感謝する」と定義されていることは初めて知った。出産できるのは母親だけであるとしても、今の時代は父親が育休をとることもあり、「両親に感謝する日」とすべきではないかという気もする。




     次の洗濯機の形状については、放送では「人類4,000年の悩み こするか・・・たたくか・・・」が正解であるとされた。
     洗濯の歴史は古くからあり、エジプトでは人々が洗濯している様子を描いた紀元前2000年頃の絵が見つかっている。また、メソポタミア文明では供え物の羊の脂と灰が混ざり偶然せっけんが生まれたとされている。洗濯の方法は大きく分けて「こすり洗い」と「たたき洗い」の2種類に分けられる。放送内容をメモすると以下のようになる。
    • 洗濯板を使った『こすり洗い』を生かしたのがタテ型洗濯機。洗濯機の底には『パルセーター』があり、これが回ることで汚れが落ちる。
    • インド・ガンジス川での風景として知られるのが『たたき洗い』。これを生かしたのがドラム型洗濯機。
    • 日本で最も初期の洗濯機は昭和初期の手動洗濯機であり、金属製の容器に洗濯物を入れて上下に回転させる『たたき洗い』であった。1951年に登場した電動洗濯機は『こすり洗い』。水分を搾り取るためのローラーがついていたが、その後、遠心力を利用した乾燥機のついた二槽式となった。
    • 2000年頃に1台で洗濯から乾燥までできるドラム型洗濯機が普及。
    • 日本は水資源が豊富なので大量の水を使うタテ型が主流。ヨーロッパでは水資源が貴重なため少量の水のドラム型が主流。
    • 洗浄力が高いのはタテ型。衣類へのダメージが低いのはドラム型。
    • タテ型は、衣類が絡み合うことで揉まれて汚れを落とすので、ある程度の量の洗濯物を一緒に洗う必要がある。ドラム型は、洗濯物の間に隙間が必要。

     ここからは私の考えになるが、私が子どもの頃はまだ洗濯板を使った『こすり洗い』が行われており、幼稚園の頃にローラーつきの洗濯機が購入された。ドラム式はコインランドリー以外では使ったことがない。我が家では洗濯物はベランダ干しにしているため必要ないが、干し物ができないマンションや、時間的余裕の無い人にとっては乾燥機能のついたドラム型のほうが便利であろう。
     『ドラム型』に対して『タテ型』という呼称が用いられた理由はよく分からなかった。『タテ型』といっても水流は水平面の渦になるはず。それほど縦長というわけでもない。




     最後の「枕が変わると眠れない」理由は、放送では「食われると思うから」が正解であるとされた。
     近年、脳に『デフォルトモードネットワーク』という機能が見つかり、関係する研究者たちが皆驚く発見となった。そもそも脳は、成人で約1400グラムで体重の2%しかないが、脳が使うエネルギーは膨大であり、消費カロリーに換算すると、体全体の約20%にも及ぶ。これほど多くのエネルギーを使う理由は今までは謎であったが、デフォルトモードネットワークがその原因ではないかと分かってきた。説明された内容は以下の通り。
    • デフォルトモードネットワークは、かつて、人類が猛獣に食われないように、体は寝ていても脳は起きているような警戒モードとして機能していた。いつも寝ている安全な場所では警戒モードは低下するが、環境が変わるとオンになり深く眠れなくなる。
    • デフォルトモードネットワーク自体は起きている時でも働いているが目が開いているので使うエネルギーは少ない。旅先で枕が変わり眠れない状態のほうが会話・スマホを使うよりも約20倍のエネルギーを使う。電球に喩えれば20ワットと400ワットの明るさの違いになる。
    • まだ研究段階ではあるが、デフォルトモードネットワークは、記憶を整理する機能も持つ。テスト前にうっかり机で寝るよりは慣れた枕でしっかり寝るほうが記憶も定着し成績もアップする。さらに、デフォルトモードネットワークは何も考えていなときにも働き、記憶同士を結びつけてなにかを思いつくという手助けもする。

     ここからは私の感想・考察になるが、デフォルトモードネットワークが睡眠の質に関係しているという説明は、「環境が変わると眠れないのはなぜか」全般に適用されるものであり、必ずしも「枕が変わる」ことだけには特定されないように思う。実際、ホテルでも病室でも、室内の内装、照明、雑音、掛け布団の重さ、マットレスの硬さなどは睡眠の質に大きく影響する。私の場合は、旅行先のホテルで睡眠不足になることは殆ど無いが、夜行バスや夜間フライトでは殆ど眠れないことが多い。但し「寝心地の悪さ」がすべてデフォルトモードネットワークに起因しているとは限らないようにも思われる。水平型のベッドに比べてリクライニングシートのほうが眠りにくいからといって、猛獣に食われないための警戒モードが高まっているわけでも無かろう。

     あと、新奇な環境ではデフォルトモードネットワークの警戒モードが活性化してより多くのエネルギーを使うため眠れなくなるという話であったが、エネルギーをたくさん使ったほうがくたびれて眠たくなるような気もする。また、記憶を整理する機能、閃きや独創性の発揮に有用であるとするなら、熟睡するよりも、睡眠時のデフォルトモードネットワークの機能をある程度高めておいたほうがよいような気もするのだが、このあたりがイマイチ謎であった。【デフォルトモードネットワークの消費エネルギーのうち、警戒モードへの配分を減らすようなコントロールが大切ということか】