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気象庁は20日、山口県を除く中国地方が梅雨明けしたとみられると発表した。平年に比べ1日遅く、昨年よりは6日早い。写真上はこの日の夕焼け。 こちらのデータが示すように、岡山では7月16日頃から梅雨前線が北上して3日連続の猛暑日となり、日照時間も毎日10時間以上となった、こうしてみると結果的には7月16日を梅雨明けと見なすべきであったが、7月19日頃に梅雨前線が南下するという予想があり、それを待ってからの梅雨明け発表となったようだ。 梅雨明けと言っても、画像左下の天気図が示すように梅雨前線はいまだ南岸に停滞している。二週間予報では7月24日頃までは前線の北側の高気圧に覆われ、その後7月25日〜28日頃に前線が北上(←もしくはフィリピン東に発生した熱帯低気圧の影響)、その後は太平洋高気圧に覆われて本格的な猛暑になるものと予想されているようだ。 前線の北側の高気圧に覆われているうちは、朝の最低気温が22〜23℃まで下がるため【7月20日と21日の最低気温は、それぞれ23.0℃と22.6℃】、寝る前に室内を冷やしておけばエアコンのスイッチを切って眠ることができるのでありがたい。また、午前中であれば30℃以下の涼しいうちにウォーキングに出かけることもできる。 |
【連載】ヒューマニエンス「“超・変異” 次の進化をたくらむDNA」(4)アーキア、獲得遺伝子、サンショウウオ 昨日に続いて、4月10日に初回放送された、NHK『ヒューマニエンス、 ●「“超・変異” 次の進化をたくらむDNA」 についてのメモと感想。 『トランスポゾン』や『全ゲノム重複』に続いて、放送の終わりのあたりでは「進化することは盗むこと」というエピソードが取り上げられた。 日本の海洋研究開発機構の潜水船『しんかい6500』は2006年、和歌山県沖の海底からアスガルド類『アーキア』と呼ばれる古細菌の一種を採取した。このアーキアは成長するに従って元々の球体の形から腕が何本も伸ばし周りの微生物を絡め取ることができる。こうして取り込まれたのがミトコンドリアであり、私たちの細胞の中で酸素を燃やしてエネルギーを作ってくれる。私たちの体のおよそ37兆の細胞の1つ1つにこのミトコンドリアが存在している。 スタジオゲストのとして後半から登場された石野史敏さん(東京医科歯科大学・名誉教授)は、他の生物から奪うことは進化の常套手段であり、「たぶん生物としては何でもありで、ゲノムの中にある遺伝子に変異を加えるだけでなく、外から来たゲノムも何とか自分のものにして取り込んで新しい遺伝子に作り替える。」と述べておられた。 石野さんたちの研究グループは、レトロウイルスから獲得した『PEG10』が胎盤を作る遺伝子となったことを明らかにした。ウイルス由来の遺伝子としてはこのほか、脳の神経を発達させた『RTL1』、肌のバリア機能を作り出す『SASPase』などがある。 石野さんたちがいま注目しているのは、やはりウイルスから奪った『Sirh3(Rt16)』という遺伝子である。その働きは全く分かっていなかった。パートナーの石野-金児知子さん(東海大学客員教授)との共同研究では、まずSirh3を働かせないマウスを作ったが、予測に反して特に目立った影響は無かった。そこで、細菌由来の病原体を脳に注入するという知子さんアイデアを試したところ、注入されたマウスの脳では即座に免疫細胞ミクログリアで覆われた。Sirh3はこの免疫細胞ミクログリアで働く遺伝子であることが確認された。Sirh3を奪ったことは野生の不衛生な棲息環境で大いに役立っていたと説明された。 石野さんによれば、外から取り入れて自分のために新しく作り直された遺伝子は『獲得遺伝子』と呼ばれるが、我々のゲノムの中のおよそ9%はレトロウイルス由来の遺伝子であるという。そうした遺伝子が重要な役割を果たしていることが明らかにされつつある。石野さんによれば、ウイルスは病気を起こす物質として見つかってきたが、そうではないウイルスのほうが多い、日常的にウイルスとの間で遺伝子のやりとりがされている。DNAがどうやって変化するのかにはいろいろな方法があるが、結果がどうなったかということで選ばれている。 放送の最後の所ではオオサンショウウオについての興味深い話題が取り上げられた。西川完途さん(京都大学)によれば、サンショウウオの仲間は人間と比べて10倍、20倍以上の巨大なゲノムを持っている。じっさい、ゲノムの塩基の数は、
西川さんによれば、体が成長するときに細胞分裂をして体をつくっていくが、その際、使わないDNAを含めて全部のゲノムをコピーしていく。サンショウウオは使われないDNAの量がものすごくあるがそれを全部コピーして細胞を増やしていくのですごく時間がかかって遅くなる。その成長の遅さゆえに、セトウチサンショウウオの寿命はおよそ30年、オオサンショウウオに至ってはおよそ60年以上生きるとされている。 サンショウウオが膨大なゲノムをため込んでいる理由について西川さんは、
最後のまとめのところで、トークパートナーの太刀川英輔さんは、言語とDNAが似ている、変異は全部言語性を伴った現象に見えるという興味深いコメントをされた。さらに、生物は変異を続けているにもかかわらず、DNAの文法は38億年変わっていない。違う文法があれば生別の命圏ができた可能性があるとも指摘された。 また石野さんは、あと100年研究が続けられたとしたらという問いに対して、生物学の一番難しいところはなぜ生命が誕生したのかという問題である、生命が誕生したあとの1から100になるところはゲノム解析で辿ることができるが、一番最初の「0」が「1」になるための条件を明らかにすることは100年あっても難しい、というような発言をされた。 ここからは私の感想・考察になるが、「跳躍的進化のカギ!?生物の“盗み”戦略」という内容については7月2日初回放送のサイエンスZEROでも取り上げられたことがあった。但し、今回はもっぱらゲノムの話題に限定されており、重複していたのはごく一部に過ぎなかった。 「盗み」というと聞こえが悪いが、科学技術の進歩においても特許に抵触しない範囲、というか抵触しないようにうまくすり抜ける形で次々と新しい技術が開発されている。また放送の終わりのところのトークパートナーの太刀川英輔さんからのコメント ●言語とDNAが似ている、変異は全部言語性を伴った現象に見える。 はまことに興味深い。言語における変異は、新語・流行語にとどまるものではない。より詳細で正確な表現は、おそらくトランスポゾンや他言語からの「盗み」のような形で使われるようになる。それが多くの人によって定着していけば新しい言語表現となるが、一時的な流行に終わり廃れていくことも少なくないだろう。 サンショウウオが将来、地球上で劇的に進化するかどうかは何とも言えないが、ヒトの手でこれだけ環境が変えられていくなかでは絶滅危惧種のまま姿を消してしまう恐れもある。ちなみに私が子どもの頃に読んだ、 『消えた土星探検隊』、レーサム、岩崎書店、少年少女宇宙科学冒険全集 ; 17 の中にはサンショウウオの形をした土星人が登場している。このほか『井伏鱒二の小説』も記憶に残っているが、文学的素養の無い私にはなかなか解釈ができない。 |